【コラム】文在寅政権よ、非難ばかりしていないで自分でやってみろ
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
社会部=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)部長

 解けない疑問がある。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はなぜ慰安婦合意を破るのだろうか。文大統領は2015年に韓日政府が合意した当時の野党代表で、「10億円で我々の魂を売った」と激しく非難した。大統領就任後は慰安婦合意検証チームを作り、「問題だらけ」との烙印(らくいん)を押した。10億円を国民の税金で立て替え、「癒やし金」の意味をなくしてしまった。この合意に基づいて設立された和解・癒やし財団の解散も決定し、今は抜け殻ばかりだ。ところが、日本には「合意を破棄したり、再交渉を要求したりしない」と言った。

 韓日関係を懸念しているからだろうか。そうかも知れない。だが、別の理由も思い当たる。合意を破棄すれば、それだけで終わるはずがない。新たな条件を手に日本と衝突しなくてはならない。破棄ばかり宣言して何もしなければ、再び違憲状態に直面する。そうした状況は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に体験済みだ。
盧武鉉政権は2005年、韓日が1965年に結んだ請求権協定を検証したとして、「慰安婦賠償は解決していない」と宣言した。これは「正義を具現した」と拍手を浴びた。ところが翌年、慰安婦被害者(元慰安婦)たちによって違憲かどうかを審判されることになった。「賠償権があると宣言しておきながら、賠償権を実現する外交努力をしない」のは、いわゆる「不作為」に当たるということだ。つまり、言行不一致だというのだ。

 運がいいと言うべきか。盧武鉉政権の「歴史問題騒動」が残した負債は次の政権に持ち越された。憲法裁判所の違憲判決が11年に出たからだ。強い姿勢に出たために韓日関係を悪化させたが、それでも李明博(イ・ミョンバク)政権は行動した。朴槿恵(パク・クネ)政権は言うまでもない。慰安婦問題の解決を掲げ、首脳会談を拒否するという強引な手も使った。そうした経緯を経て15年に慰安婦合意がなされた。それなのに、この合意を盧武鉉政権の後継者たちが無残にもめった切りにした。それが「正義を具現した」とまた拍手を浴びている。

大法院は、徴用被害者の賠償権を認める根拠として1965年の請求権協定に植民地賠償が含まれていなかったと判断した。この判決に反対すれば、「親日だからそんなことを言うのだ」と言われる。常とう句だが威力がある言葉だ。しかし、このように親日か反日かという物差しで見れば、大韓民国の深みが台無しになる。

 韓国社会には国の正統性を否定する勢力がいる。朴正煕(パク・チョンヒ)政権を軽蔑する知力では韓国の経済発展を受け入れられない。だから、経済発展の元手となった請求権資金の性格について半世紀以上、かみついているのだ。韓国経済は屈辱外交・物ごい外交で得た日本の協力資金で築かれた「砂の城」だということだ。国の正統性を信じる人々は、この資金を植民地賠償金とたがわない「犠牲の代価」として解釈する傾向がある。受け取るべき金を後世の人々が堂々と受け取り、自ら経済発展させたということだ。
大法院判決は、この資金の賠償的性格を否定することにより、結果的に一方の勢力に加勢した。文在寅政権の「徴用裁判遅延」捜査にせかされ、取り返しのつかない決定を下した。それなら請求権資金が投入されたポスコ、昭陽江ダム、京釜高速道路、漢江鉄橋、嶺東火力発電所は日本からの贈り物だというのだろうか。

 文在寅政権はこれまで非難してきた人々を越えられるのか。慰安婦賠償・植民地賠償を成し遂げる能力があるのか。政権を見回してみれば、すぐに見えてくる。どのくらい外交的な元手があるかが。

2018/11/07 09:31
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