https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-07/PH3K2O6S972B01?srnd=cojp-v2

和製アマゾン・ゴーが人気、開発のサインポスト−株価うなぎ上り

古川有希、中村友治
2018年11月8日 6:01 JST
更新日時 2018年11月8日 9:43 JST
→財布いらず無人の「スーパーワンダーレジ」−20年度までに3万台目標
→蒲原社長は元三菱UFJのシステム担当、試行錯誤重ねAIも活用

交通系電子マネー「スイカ」を入り口でかざし、陳列棚に並ぶ総菜パンやお茶を手に取り、出口で再びスイカをかざせば買い物が終わる。JR赤羽駅構内に10月中旬に新設された店舗は、米アマゾン・ドット・コムのレジなしストア「アマゾン・ゴー」と似た体験ができると関心を集め、連日にぎわっている。

  この人気スポットに無人決済システム「スーパーワンダーレジ」を提供するのが、東証マザーズ上場のサインポストだ。これまで買い物かごにカメラを取り付けたり、X線を活用したりと試行錯誤を重ねてきたが、画像を認識する人工知能(AI)を活用して商品を識別し、支払額の計算、決済まで完結させる方法にたどり着いた。

  サインポストの蒲原寧社長はインタビューで「電車も高速もスルーできるのに、なぜレジだけ待たなければならないのか」と開発動機を語った。9月の有効求人倍率が1.64倍と1970年代以来の高水準となる中、無人レジは人手不足解消にもつながる。蒲原氏は「社会問題を解決したい」との気持ちもあり、開発に力が入ったと言う。

  アマゾン・ゴーは、決済アプリを備えたスマートフォンさえあれば、手ぶらで買い物が楽しめるのが特長で、利便性はスーパーワンダーレジと類似する。技術の独自開発という点も同じだ。しかし、ビジネスモデルは違う。アマゾンは自らも物品を販売しているが、サインポストは無人レジというプラットホームの提供者だ。

2020年度までに3万台

  スーパーワンダーレジ(約500平方メートルの店舗で1億円程度の導入費用を想定)は電子マネーだけでなく、クレジットカードや現金にも対応できる。昨年商品化され、既にクレジットカード会社ジェーシービー内の売店や電気通信大学の生協などで採用されている1代前の「ワンダーレジ」(1台100万円前後)と合わせ、2020年度(21年2月期)までに国内で3万台の導入を目指す。

  サインポストの上期(3−8月)売上高14億2300万円のうち、8割以上はコンサルティング事業が占め、レジなどのイノベーション事業は1600万円にとどまる。蒲原氏はイノベーション事業について、小売店側の情報技術(IT)やAIに対する意識の高まり、人手不足の深刻化で「AIレジ元年」とにらむ来期(20年2月期)以降の黒字化を目指す。