【11月10日 東方新報】中国・雲南省(Yunnan)文山市(Wenshan)で10月29日、「犬類管理強化の通告」が発表された。この新しい規定の中で最も注目されるのは、犬を連れて外に出る際にはリードを使用し、長さは1メートルを超えてはならず、成年者がけん引することとし、午前7時から午後10時は犬の散歩を禁止としたことだ。

 このほか、新ルールでは、犬の検疫が義務付けられ、市民はペットと共に公共の交通手段に搭乗してはならず、ペットは他者の正常な生活を妨害してはならない、などの規定が盛り込まれた。

 新ルールの執行部門は、文山市都市管理総合行政執法局とその下部機構ということだ。

■新ルールが巻き起こした議論

「史上で最も過酷な飼い犬条例」とされるこの規定が発表されると、文山市民の熱い論議が巻き起こった。記者は、当地メディアの報道記録の中から、賛成者数と反対者数がほぼ同じであることに気づいた。

 ある市民は、政府が具体的な犬の散歩時間を定め、ルールの下で犬を飼うことは、都市文明にとって良いことだと言う。また、自分の居住区の至る所でペットが大小便をしたり、犬に追いかけられたりした経験を紹介し、人間とペットが時間差で外出することは互いに有益なことだと主張する人もいる。
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 ただ、新ルールに従って飼い主が犬を散歩させるためには、朝は早起きをし、夜も遅い時間に出かけなければならず、飼い主にとっては辛い。特に午後10時以降に集中して犬の散歩をさせるのは、騒音の原因になる可能性がある、という人もいる。

 あるユーザーは、犬の散歩の問題は、実際はちょっと気を付ければ解決は簡単だ、という。飼い主が犬をリードで引き、大小便を片づけ、人の多いところでは犬に口輪を着けるなど、気を付けさえすれば、人と犬の平和的共存ができる。機械的に線引きをして、散歩時間を規定してしまうより、もっと重要なことは非文明的な行為をする飼い主を厳しく罰することで、これこそが最も合理的に問題解決をする方法だ、という。

■犬の飼い主の「非文明的行為」、苦情は顕著に減少

 細かい規定を作った背景について、文山市都市管理総合行政執法局の職員は、非文明的な行為が多かったためだと言う。「散歩に行くときにリードを付けず、大小便はし放題、という状況が多い。毎日のように苦情電話を受けた」という。「ひどいのは、この数年、ペットが人をかむ事件が多発し、死亡に至るケースもあった」という。「文山市は他の都市の規定を参照し、当市の地域性に照らし合わせ、どうやったら効果が出るか検討し、最終的にこの10月に出来上がった」

 現在、市民による通報以外、新ルールの実行は都市管理局の巡回による。都市管理局の職員が毎日午前7時から午後10時まで巡回し、3交代制で勤務している。新ルール導入後は、従来の都市管理の仕事以外に「犬害」の排除も仕事となった。

 現在、都市管理局の職員は、昼間、飼い主が犬の散歩や何らかの違反行為を発見した場合、教育・指導を主とし、実際の処罰は下していない。なお、現行の「雲南省都市建設管理条例」によると、「公共の場所でいたずらにゴミや汚水を捨てたり、勝手に雑物を積み上げたり、いたるところで大小便をしたりした場合、違反者に対し300元(約4902円)〜数千元の罰金を課すことができる。

2018年11月10日 12:12 
(c)東方新報/AFPBB News
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