南極海で調査捕鯨をする船団が12日、山口県下関市の下関港を出港した。
クジラの生息数などを目視や捕獲で調べる。

日本は9月の国際捕鯨委員会(IWC)総会で商業捕鯨の再開案が否決され、IWCの脱退も検討している。
脱退すると南極海での捕獲は出来なくなり、今回が同海域で最後の調査捕鯨になる可能性もある。

写真=来年3月まで南極海で調査を担う(12日、山口県下関港)
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下関港から南極海に向かった調査船は勇新丸と第三勇新丸の2隻。
広島県などから出港した3隻も参加し、2019年3月までの調査でクロミンククジラ333頭の捕獲を目指す。

朝9時から開かれた出港式には乗組員の家族など60人ほどが集まった。
第三勇新丸の阿部敦男船長は「調査は困難も予想されるが若い船員も多い。
捕鯨の担い手にも技術を継承したい」と述べた。

水産庁の黒川淳一国際課長は「IWCで捕鯨支持国と反捕鯨国の共存の可能性が否定されたのは残念。反捕鯨団体シー・シェパードは今は静かだが油断はできない。調査が成功し、無事の帰港を願っている」と話した。
9月のIWC総会で日本は資源量が豊富な鯨種に限り商業捕鯨を再開できるよう提案したが、反捕鯨国の合意は得られなかった。
水産庁は「商業捕鯨の再開を目指す日本の方針に何の揺らぎもない」(長谷成人長官)とし、現在IWCからの脱退を含む様々な選択肢を検討している。

IWCに加盟していないと南極海で捕獲調査はできない。
政府の判断によっては、今回が最後の南極海域での任務となる可能性がある。
南極海調査捕鯨支援の会(下関市)の織田光晴会長は「乗組員は商業捕鯨の再開を目指し、妨害などにも負けず頑張ってきた。今後の道は国の判断によるが、今いる乗組員の仕事を守ってほしい」と話した。

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