「コンビニ外国人」と「幻の留学生30万人計画」“日本版移民政策”の不安とは何か?
ttp://bunshun.jp/articles/-/9631
 学生ビザでのアルバイトが原則的に許されていないアメリカなど比べれば、日本の状況はかなりユルい。
 そのユルさが、“出稼ぎ留学生”の増加や質の悪い日本語学校を増やす一因にもなっている(このへんの実情に
ついては、拙著『コンビニ外国人』を参考にしてください)。

 美辞麗句で飾られていてわかりにくいが、つまり、政府は「高度人材をより多く受け入れる」ことを至上命題に
留学ビザの要件を緩和し、世界中から留学生をどんどん受け入れたのである。
 だが、蓋を開けてみると、高度人材に結びつくようなエリート留学生の数はあまり増えていない。

 高度人材を呼び込むプラットフォームだったはずの「30万人計画」の失敗が明らかになった、というわけである。
しかし、皮肉にも「30万人計画」は“(コンビニの接客など、日本人が嫌がる職に就く)労働力を確保する”という
意味合いにおいては成功している。

 しかし、大卒の留学生でも、希望する職種へはなかなか就職できないのが本当のところだ。「日本の企業で就職
したい」と願っても、実際に就職できるのは全体の3割から4割程度だという。外資系企業に流れる留学生も多い。

 こうした状況を受けて、この9月には、大学や大学院を卒業する留学生の就職制限が緩和された。これまでは、
大学などで学んだ内容と関係する職種にしか就職できなかったが、来年4月からはこうした制限が撤廃される。

 こうした日本の状況とは正反対に、アメリカはいま移民を締め出しにかかっている。“移民の国”が自国の歴史を
否定するかのように移民排斥の方向へ向くのを見ていると、外国人労働者の問題がとてもデリケートで根深いこと
に改めて気付かされる。