人工知能(AI)開発のアベジャ(東京・港)は工場で働く人の動作を分析するシステムを開発した。カメラで撮影した映像をもとに、作業の内容や要した時間を分析する。デンソーがタイにある自動車部品工場で導入を決めた。人件費が上昇傾向にあり効率化のニーズが高い東南アジア諸国連合(ASEAN)市場の開拓を進める。

生産ラインで部品を組み立てている従業員の体の動きを解析する。システムが映像に映った人の姿勢をもとに、体の位置や手の動き、作業の内容や時間を計測してグラフなどにまとめる。デンソーは無駄な動作を省いてコスト競争力を高める「カイゼン」にデータを活用する。4月から8月まで両社で実証実験をして、効果を検証していた。

アベジャは国内では製造業向けに製品の外観検査システムなどを提供している。ASEAN市場を開拓するため、2017年にシンガポールに子会社を設立した。同社にとって海外での採用事例は今回が初めて。特殊なセンサーなどを使わずに済むため、大がかりな設備や工事が不要だ。

工場の効率化では作業をする人の動きをストップウオッチで計測して無駄な動作を洗い出すのが一般的だったが、手間がかかっていた。

ASEAN各国は日本に比べると人件費が安く、工場の組み立ても人手に頼る例が多い。最近は人件費が上昇傾向にあり、作業のばらつきを減らして生産効率を高めることが求められている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37802640V11C18A1FFR000/