https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46271509

【解説】カルロス・ゴーン、ルノーと日産の容赦ない「コスト・キラー」
2018年11月20日

ラッセル・ホットン、BBCニュース・ビジネス記者

日本では、カルロス・ゴーン容疑者(64)の英雄的な存在感はとても大きく、その半生が漫画化されたこともある。

日本の由緒ある企業のトップに外国人が立つというアイデアが好奇心と憤慨にさらされ、ゴーン容疑者が窮地にあえぐ日産自動車の復興に取りかかったのは2001年のことだった。

しかし、その2年前に日産の多数株式を取得していたルノーは、ブラジル出身のゴーン容疑者に大きな期待をかけていた。そして、ゴーン容疑者はそれを裏切らなかった。

2011年に日本で全国規模で行われた、誰に首相になってもらいたいかという世論調査で、ゴーン容疑者は7位につけ、9位のバラク・オバマ前米大統領を抜いた。別の世論調査では、日本人女性が結婚したい男性1位になったこともある。

こうした輝かしいキャリアは、日産が発表したゴーン容疑者の「重大な不正行為」によって帳消しになるかもしれないことを際立たせている。

大企業がひしめく自動車業界にあって、ゴーン容疑者はその頂点にいたといってもいい。ルノーと日産、三菱自動車という、2大陸にまたがる世界的大企業3社を会長および代表取締役として率いていた。彼の下で働く従業員は約47万人で、昨年は122の工場から1060万台を販売した。

東京のコンサルティング会社ティー・アイ・ダヴリュのアナリスト高田悟氏は、「今回の事件は、彼が要石だった(ルノー・日産・三菱)アライアンスを揺るがすことになるだろう」と話した。
高田氏は、ゴーン容疑者の「カリスマ性」がアライアンスを結びつけていたと指摘した。

「コスト・キラー」

ゴーン容疑者のキャリアはフランスのタイヤ大手ミシュランで始まり、18年にわたってさまざまな部門や国を担当した。
もしかしたら、家族企業であるミシュランではトップに立てないと考えたのかもしれない。ゴーン容疑者は1996年にルノーに移り、すぐに業績の悪かった南米部門を任された。

南米部門の抜本的な改革と、赤字からの脱却によって、ゴーン容疑者には「コスト・キラー」というあだ名がつき、その後も同容疑者について回った。

ゴーン容疑者自身はこのあだ名を好いてはいなかった。同容疑者は、もし企業の生き残り戦略がコスト削減にだけ依存していたら、企業はそう長く存続しないだろうと指摘している。
ルノーが1999年に、日産の40%近い株式を買い上げその再建に乗り出そうとした時、ゴーン容疑者が同じ成果を見込まれて投入されたのは当然のことだった。

当時の日産は大きな負債を抱え、直前の8年のうち7年で赤字を計上していた。ゴーン容疑者は、工場閉鎖や7人の1人の人員削減という大幅なリストラ計画を開始した。

この10年間、景気後退に沈み、過剰供給に立ち向かわなければならなかった世界の自動車産業を前進させる唯一の手段として、ゴーン容疑者は経営統合とアライアンスを擁護してきた。
何年もの間、ゴーン容疑者が米国の大手自動車メーカーとの連携を画策しているとの憶測が流れていた。
(リンク先に続きあり)

https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/14064/production/_104402028_mediaitem104402027.jpg