ウイルス情報サイト記事で罰金刑|NHK 関西のニュース
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20181121/0009933.html
11月21日 17時10分

インターネットの情報セキュリティーについてのサイトに投稿された記事に、コンピューターウイルスにあたるプログラムが書かれていたとして、ことし3月、サイトの管理者がコンピューターウイルスの提供の罪で検察から略式起訴され、罰金刑を受けていたことが分かりました。
これについて、研究者からは、「問題とされたのは一般的な通信用プログラムで、これがウイルスとされると研究の萎縮につながるのではないか」として戸惑いの声が上がっています。

略式起訴されたのは、研究者などから情報セキュリティーに関する記事を募って、公開するWEBマガジン、「Wizard Bible」を運営していた、当時、関西に住んでいた男性管理者です。
起訴状などによりますと、この管理者は、読者が投稿したウイルスのプログラムが書かれた記事を、サイトで公開したとして不正指令電磁的記録提供の罪でことし3月、検察から略式起訴され、裁判所で罰金50万円の略式命令を受けました。
これについて、複数の情報セキュリティーの研究者が問題のプログラムを検証したところ、サーバーの遠隔管理などに使われる一般的な通信プログラムだったことが分かりました。
同じようなプログラムは、入門書などにも掲載されていて、ほかにも専門的な知識や技術がないとウイルスとして悪用するのは難しいということです。
このため、研究者の間からはこのプログラムがウイルスと判断され、摘発されたことに戸惑いの声が上がっています。
検証した研究者の1人で、立命館大学の上原哲太郎教授は、「サイバーセキュリティーの研究では、攻撃手法などの情報共有は非常に重要で、こうしたことが続くと、研究の萎縮を招くおそれがある」と話しています。

【略式命令受けたサイト管理者は】
略式命令を受けたサイトの男性管理者はパソコンが押収され仕事ができなくなるなどしたため、早く終わらせたいという思いからすでに罰金50万円を納めたということです。
管理者は運営していたサイトをことし4月に閉鎖したということです。
NHKの取材に対し、管理者は「略式起訴されたことは重く受け止めているが、記事の内容は悪用が難しい初歩的なプログラムで、コンピューターウイルスにあたるとは思わなかった。サイトは情報セキュリティーへの理解を深める目的で運営していたが、ウイルスとして摘発される基準がよく分からず、草の根でのセキュリティー研究が難しくなる」と話しています。

【コンピューターウイルスに関する法律は】
コンピューターウイルスをめぐっては、個人情報の流出やシステムの停止など、ウイルスによる被害が深刻化していることから、7年前の平成23年の刑法改正で「不正指令電磁的記録に関する罪」として盛り込まれました。
法律では、正当な理由なしに他人のパソコンで勝手に実行する目的で、不正にウイルスを作ったり、提供したりすることなどが禁止されています。
法律が施行されてから警察に摘発される件数は、年々増えていて、去年1年間では75件となっています。
最近では▽去年10月にコンピューターウイルスの管理が、不十分だった情報セキュリティー会社の社員が逮捕され、その後、不起訴となったほか▽ことし6月にはホームページを閲覧した人のパソコンに、仮想通貨を獲得する「マイニング」をさせるプログラムを組み込んでいた全国で16人が摘発されていたことが明らかになっています。

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