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中国政府 豚コレラの感染拡大「情勢厳しく長期対策必要」
2018年11月23日 18時31分

中国政府は、感染力が強いブタの伝染病の「アフリカ豚コレラ」の感染が各地で拡大していることについて「ウイルスの拡散防止に関して情勢は厳しい」として、長期的な対策が必要だとしたうえで一部の地域で当局者が法や規則に違反して対策を十分にとっていないとして監督を強化する方針を示しました。

中国農業農村省は、感染力が強い伝染病で、感染したブタはほぼすべて死ぬ「アフリカ豚コレラ」が、中国の広い範囲で感染が広がっていることを受けて23日、北京で記者会見を行いました。

この中で農業農村省牧畜獣医局の馮忠武副局長はことし8月以降、「アフリカ豚コレラ」が全国の73か所で発生し、処分した豚は60万頭に上ると明らかにしました。

そして「ウイルスの拡散防止に関して情勢は厳しい」と認めたうえで、「発生した国ではウイルスの根絶に短くて5年、長ければ30年余りかかっていて、長期的な対策の必要性を認識しなければならない」と述べました。

また一部の地域では感染防止の対策をとる当局者が法や規則に違反して虚偽の報告などを行い、対策を十分にとっていないとして監督を強化する方針を示しました。

中国政府は発生当初、「ウイルスは効果的にコントロールされている」として、感染拡大を抑え込んでいると強調していましたが、各地で感染が相次いでいて、対応に追われています。

不安募らせる養豚農家

アフリカ豚コレラの感染が確認された地域では、養豚業を営む農家たちが不安を訴えています。

このうち天津市で7年前から養豚業を始め、100頭余りの豚を飼育している呉連栄さんは「感染が発覚した養豚場の農家は、問題ない豚も処分しなければならず、ひどく泣いていたようだ。自分の豚にも感染したらすべての豚を処分する必要があり、非常に心配です」と話していました。

また、近くの養豚場で感染が発覚し、本来出荷するはずの豚の販売を当局に一時的に止められているとしたうえで、「今も豚を飼い続けていますが、飼料を食べるだけで販売することができません。アフリカ豚コレラの感染が早く収束して販売できることを望んでいます」と話していました。

対策行うも感染拡大

アフリカ豚コレラの感染が確認された場合には、発生した農場の周辺を感染地域と定め、重点的に対策がとられています。

このうち天津市でアフリカ豚コレラが発生した養豚場では、すべての豚を処分したほか、周辺では消毒ポイントが設置され、通過する車両や人などに消毒を行っていました。

また、家畜の輸送が禁止されていたほか、食肉処理場も一時的に閉鎖され、豚の出荷などが制限されていました。

このほかインターネット上では、感染した養豚場の豚が大量に処分されたとされる映像なども相次いで公開され、当局や関係者が対応に追われる様子が写っています。

中国農業農村省はこれまでに20の省などで感染が確認されているとしていて、一部の畜産関係の当局者は職責を果たさず、対策を十分にとらなかったことで地域を越えて感染が拡大したと指摘しています。

今月21日には、発生が疑われた際に意図的に報告を遅らせることや、虚偽の検査結果を報告することを禁止するなどとした通知を発表し、管理や監督を強める姿勢を示しています。

一方、日本でも先月、中国からの渡航者が持ち込んだ豚肉の製品からアフリカ豚コレラのウイルスの遺伝子が検出されていて、日本の農林水産省は養豚業者などに警戒するよう呼びかけています。