[2018年11月25日17時7分]
https://www.nikkansports.com/general/news/201811250000577.html

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が巨額の役員報酬を隠したとされる金融商品取引法違反事件で、日産が、同容疑者の民事責任追及に乗り出す方針であることが25日、関係者への取材で分かった。損害賠償請求訴訟を視野に入れているとみられる。

日産側からゴーン容疑者側に対しては、<1>無償利用していたレバノンなど4カ国の住宅の購入費<2>業務実態がなかった姉への毎年約10万ドルの報酬<3>家族旅行や私的な飲食の代金−などが支出されていたことが既に判明している。

日産は、こうした利益供与が違法と判断できれば、民事手続きで賠償を求めていく方針だ。

ゴーン容疑者は19日、2011年3月期から5年間の有価証券報告書に、自分の役員報酬を計約50億円少なく記載したとして金商法違反容疑で逮捕された。翌20日、日産の株価は急落。今後も下落が続けば、株主が不正行為で損失を被ったとして日産やゴーン容疑者を相手に賠償請求訴訟を起こす可能性もある。

東芝の不正会計問題では、東芝が旧経営陣を提訴。株主も「不正を知っていれば株を買わなかった」として東芝と旧経営陣を訴えた。

株主が経営陣を相手取り、違法行為で生じた損失を穴埋めする賠償金を原告の株主にではなく、会社に支払うよう求める「株主代表訴訟」もある。

オリンパスの巨額損失隠しでは、会社による旧経営陣への賠償請求訴訟と、株主代表訴訟がそれぞれ起こされた。合わせて言い渡された昨年4月の東京地裁判決は、旧経営陣に対し総額約590億円をオリンパスに支払うよう命令。東京高裁で審理が続いている。(共同)