北九州
「東洋一のつり橋」若戸大橋の記録映画上映へ
毎日新聞2018年11月24日 11時36分(最終更新 11月24日 12時11分)
https://mainichi.jp/articles/20181124/k00/00e/040/218000c

洞海湾上の高所での作業風景=北九州市立自然史・歴史博物館提供
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建設途中の若戸大橋=北九州市立自然史・歴史博物館提供
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戸畑市長(当時)が足場を渡って若松側に向かう場面=北九州市立自然史・歴史博物館提供
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戸畑市長(左)と若松市長(共に当時)が握手を交わす=北九州市立自然史・歴史博物館提供
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 12月1日に無料化される若戸大橋(北九州市若松区−戸畑区)の建設作業や街の様子を描いた記録映画「世紀の若戸大橋」が、同日午後1時から若松市民会館で上映される。橋が完成した1962年製作で「東洋一のつり橋」とうたわれた当時の雰囲気を伝える映像だが、近年は人目に触れることがなかった。企画した市は「注目を集めた橋や街の往時を知り、地元への理解を深めてほしい」と期待している。

 洞海湾にかかる若戸大橋は全長2100メートル、つり橋部分は627メートル。建設した日本道路公団総裁(当時)は、完成記念誌に「全て日本人の手によって、日本の橋りょう技術の粋を集めて完成したことに大きな意義がある」と記した。本州四国連絡橋など、後に開通した長大橋のモデルケースになったとされる。

 記録映画は旧戸畑、若松両市と日本道路公団が企画。映画雑誌「キネマ旬報」によると、開通前の62年4月に完成した。北九州市が無料化記念行事のため、当時の資料を探したところ、市立自然史・歴史博物館が別の施設にあったフィルムをDVD化していた。

 映像は26分余。洞海湾を見下ろす高所での作業や高松宮ご夫妻の視察、戸畑市長が足場を歩いて若松側に渡り、若松市長と握手する光景などが映し出される。人口増で住宅が密集する戸畑の街や洞海湾沿いの工場群に加え、若松出身の芥川賞作家、火野葦平ら地域の文化人や両地区の名所旧跡も収めている。

 若戸大橋は、国民栄誉賞を受賞した森繁久弥主演の「社長漫遊記」(63年公開)など映画の舞台となった他、写真雑誌が開通記念特集を発行するなど開通前後に多方面から脚光を浴びた。橋の近くにある火野葦平資料館の坂口博館長(65)は「当時の北九州のシンボル的存在だった。観光面など新たな活用策を考えてもよいのではないか」と語る。

 上映は北九州市の無料化記念祝賀会の行事として開かれ、入場整理券が必要。問い合わせは若松区総務企画課(093・761・電話番号はリンク先)。【奥田伸一】