村議会議員選挙定員割れで再選挙へ 群馬県昭和村
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181127/k10011725561000.html

地方議員のなり手不足が深刻になる中、群馬県昭和村では、
27日告示された村議会議員選挙で立候補者が定員を3人下回り、
欠員を補うための再選挙が行われることになりました。

群馬県昭和村では27日、任期満了に伴う村議会議員選挙が告示され、
午後5時で立候補の受け付けが締め切られました。
その結果、定員12人に対して、立候補を届け出たのは9人にとどまり、
全員の当選が無投票で決まる一方、定員の4分の1にあたる3人が欠員となりました。
公職選挙法では、欠員が定員の6分の1を上回った場合、欠員を補うための再選挙を行う規定になっているため、
早ければ来月にも再選挙が行われることになりました。
人口7400人余りで農業が主な産業の昭和村では、
人口の減少などを受けて昭和57年には22人だった村議会の定員を段階的に減らし、
平成18年に現在の12人に変更しました。

地方議会をめぐっては、3年前の統一地方選挙で全国の104の市町村議会議員選挙が無投票になり、
このうち4つの選挙で欠員が生じるなど議員のなり手不足が深刻になっています。

再選挙が決まったことについて、
昭和村の藤井健一総務課長は「全国的に地方議員はなり手が不足していると言われているが驚いている。
住民に意見を聞くなどして今後の対策を考えていきたい」と話しています。

村議なり手不足の実情
昭和村の村議会議員を4期16年務めてきた藤井富夫さん(68)は体力面の不安などから今期限りでの引退を決めました。
その後、議員のなり手不足に悩む村の関係者などから再三にわたって引退を撤回するよう頼まれ、
自分より若い世代の知り合いなど3人に、代わりに立候補するよう依頼してきました。
しかし、「議員報酬だけでは生活していけない」とか、
「今の仕事と議員活動の両立が難しい」といった理由でいずれも断られたということです。

告示日の27日も知り合いの家を回り、
このままでは定員割れによって再選挙が行われることなどを説明して最後のお願いをしましたが、
結局、立候補を承諾してくれる人は見つかりませんでした。

藤井さんは「議員の数が足りなければ地域の課題や住民の声が行政に行き届かなくなるおそれがある。
再選挙になれば、そのための費用や人員も必要となり村にとっての影響は大きい」と話していました。

専門家「民主主義にとって危機的な問題」
地方自治に詳しい高崎経済大学地域政策学部の増田正教授は
「このような事態はよほどのことがないかぎり起こらないもので、
立候補する人が減っている背景には多くの人が待遇の悪さや兼職の難しさなど負担になることを嫌うとともに、
地域のことを真剣に考える人が減っていることもあると思う。
民主主義にとって危機的な問題で対策が必要だ」と指摘しています。

そのうえで、今後の対策については「住民全員で適正な定数を検討したり、
議員が果たすべき役割を考えたりしなければいけない。
自分たちが住む町について考え直すいい機会になるのではないか」と話しています。