自民党は、自衛隊の存在明記など4項目の憲法改正条文案について、今国会での他党への提示を断念する方針を固めた。衆院憲法審査会が与党の想定通りに進まず、12月10日の会期末が迫る中、強引に審査会を運営すれば来年の通常国会にも影響すると判断した。来年夏の参院選前に国会が改憲案を発議することは極めて難しくなり、安倍晋三首相は改憲戦略の再考を迫られそうだ。

 衆院憲法審の森英介会長(自民党)は28日、幹事懇談会を職権で開いた。立憲民主党や国民民主党は欠席したが、森氏は29日の審査会開催を決めた。今国会で初めての審査会では、与党筆頭幹事に内定した自民党の新藤義孝氏ら新たな幹事を選任する予定だ。

 これに対し、立憲民主党の辻元清美国対委員長は「自分たちで環境を壊した。そんな中で憲法論議はできない」と反発。野党は29日以降の審査会の審議には応じない見通しだ。

 今国会では、自民党憲法改正推進本部の下村博文本部長が憲法審の開催に応じない野党を「職場放棄だ」と発言し、野党との対立が深まった。会期末までに衆院憲法審の定例日は29日を含めて2回しかなく、前国会で積み残した国民投票法改正案の審議も手付かずのままだ。年末の来年度予算編成を控えて会期の大幅延長は見込めず、自民党幹部は「今国会は幹事の選任までだ」と語った。

 首相は21日、下村氏と高村正彦前副総裁から憲法改正に関する国会の状況の説明を受け、「任せる」と語った。【田中裕之、小田中大】

11/28(水) 22:39
毎日新聞
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