「どこかずっと遠くに下品な島があるんです。とても下品なかたちをした下品な島です。そこには下品なかたちをした椰子の木がはえています。
そしてその椰子の木は下品な匂いのする椰子の実をつけるんです。でもそこには下品な猿が住んでいて、その下品な匂いのする椰子の実を好んでたべます。そして下品な糞をするんです。
その糞は地面に落ちて、下品な土壌を育て、その土壌に生えた下品な椰子の木をもっと下品にするんです。そういう循環なんですね」
(ねじまき鳥クロニクル/村上春樹)