子どもの貧困対策として、厚生労働省は、各地で実施されている無料の学習支援事業を来年度から拡大し、家庭での片づけや規則正しい食事など、暮らしぶりの改善にも踏み込んだ支援に対して補助をする方針を決めた。生活習慣に問題があると子どもが勉強に集中できず、学力向上につながらないケースがあるためだ。

 「学習支援を行うには、保護者も含めた世帯全体の生活の見直しが不可欠」。京都府京丹後市寄り添い支援総合サポートセンターの小谷和広センター長は、こう強調する。

 同市では2013年から、学習支援員が生活保護の受給世帯の家庭を訪問し、毎年約15人程度の小中学生に学習支援を実施している。ひとり親世帯や外国人の親を持つ世帯など家庭の事情は様々で、家を訪ねると散らかった部屋や偏った食事など生活の実態が見えてくるという。

 支援員は親と一緒に片付けを行い、朝食を食べることなど食生活についても助言。そうすることで家の中に安定感が生まれ、やる気が出ることが多いという。

 ほかにも、就学資金計画の相談に乗る(盛岡市)、食事や服装、教育費用について助言をする(福島県会津若松市)――などの事例があり、子どもが希望の学校に進学するなどの成果を上げている。
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 厚労省の調査によると、2015年の18歳未満の子どもの貧困率は13・9%で、7人に1人の子どもが貧困に陥っている。シングルマザーなどひとり親世帯の貧困率は50・8%に上る。

 生活保護世帯の子どもの高校への進学率は93・6%(17年4月時点)で、全世帯平均より5ポイント以上低い。さらに、大学や専門学校への進学率は、35・3%(全世帯平均は73・0%)にとどまっている。

 こうした状況を受け、厚労省は、経済的に苦しい家庭の子どもを対象に無料学習塾などを開いた自治体に補助金を出している。現在、500余りの自治体でそうした学習支援が行われているが、困窮者対策を議論する厚労省の専門家会議などでは「生活の乱れがあると勉強に集中できず、効果が上がらない」といった指摘が相次いでいた。

 厚労省は来年度から、学習支援に加えて生活支援も同時に行った場合、補助金の加算を予定している。自治体職員やNPOスタッフらが家庭などで指導するケースを想定している。

 困窮者支援に詳しい首都大学東京の岡部卓教授は「学習支援で子どもに接する支援員は生活習慣の乱れなどの問題に気付きやすい。ただ、適切な支援を行うには、福祉の専門知識のある人材の育成が不可欠。国は研修の充実などで、担い手を増やす努力をするべきだ」と話している。
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12/3(月) 12:15
読売新聞
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