[メガFTA] 食肉輸入最多ペース 既に175万トン TPP11でさらに加速
12/2(日) 7:09配信 日本農業新聞
[メガFTA] 食肉輸入最多ペース 既に175万トン TPP11でさらに加速
過去20年間の1〜10月の食肉輸入量の推移
2018年の食肉輸入量が、過去最多を更新するペースで推移している。財務省の貿易統計によると10月までの累計は175万トン。統計がある1988年以降で最も多かった17年の同時期を上回った。特に牛肉は主力のオーストラリア産を中心に伸びが目立つ。米国を除く環太平洋連携協定の新協定(TPP11)が12月30日に発効し、食肉の関税は大きく下がる。輸入増加がさらに加速する恐れがある。

18年1〜10月の食肉輸入量は前年同期比2%増の174万6678トン。17年は通年で200万トンを超えたが、それを上回るペースだ。

牛肉は5%増の50万8178トン。日本で牛海綿状脳症(BSE)が発生し、輸入が急増した01年以来の高水準だ。牛肉輸入の過半を占めるオーストラリア産は8%増の26万トン。東京都内の輸入業者は「スーパーやレストランからステーキ向けの注文が増えた」と話す。

同国の食肉輸出団体は厚切り肉を販促し、消費拡大につなげている。春先からは現地の干ばつの影響でと畜頭数が増え、日本への輸出を強めたことも重なった。米国産は2%増の21万トンだった。

豚肉は1%増の76万8351トン。10月までの累計で2年続き最多を更新した。国産と競合する冷蔵品が3%増とけん引。品質を売りにするカナダ産を中心に伸びた。大手輸入業者は「国産相場の乱高下を受け、スーパーが輸入にシフトした」と話す。安定価格を強みに売り場で定着している。冷凍品ではスペイン産が初めてデンマーク産を上回った。加工向け部位に加え「イベリコ豚」などスーパー向けも増えた。

鶏肉(調製品を除く)は1%増の47万149トンと、過去2番目の高水準だ。外食からタイ産の引きが強まり、14%増えた。

12月30日にTPP11が発効される。牛肉では主力のオーストラリア産の他に、関税が下がるカナダ産やニュージーランド産も注目される。都内の中堅スーパーは「肉質が良いカナダ産の取り扱いを考えている」と明かす。

11月29日には衆院本会議で欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の承認案が可決され、2月にも発効する可能性が強まった。食肉メーカーは「豚肉輸入にメリットがある」と話す。自由貿易協定が相次ぎ発効されることで、九州の肉牛産地は「食肉輸入が一層増える恐れがある」と懸念する。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181202-00010001-agrinews-ind