水道代が高すぎてトイレ流せない……英貧困家庭を直撃
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46436100

子供2人と暮らすシャーリー・ウィドップさん(51)の水道代は、水道会社のメーターで決まる。最近になって請求額は35%も上昇したというウィドップさんは、「まったくとんでもない。1930年代じゃあるまいし、使う水の量を制限するなんて」と怒る。

非営利政策調査団体ジョセフ・ロウントリー財団が4日発表した「英国の貧困2018」報告によると、英国の貧困家庭が最も滞納しがちなのが水道料金だという。
「うちは水道メーターを使っている。低所得家庭なので、料金が払えるかいつも心配している」とウィドップさんは話す。恥ずかしい状況だとは思うが、「自分のために発言できない」同じような立場の人たちのために、声を上げることにしたと説明する。
イングランドでは約半数の家庭に水道メーターが設置され、使用量に応じて料金を払うが、多くの地域ではメーター設置は義務付けられていない。メーターを使わない家庭では、住宅評価額に応じて一律の料金を払う。
消費者に代わって水道会社を監視する法定監視団体「水道消費委員会」によると、水道料金が払いきれないため割引対象になった人の数は1年間で50%増え、40万人近くに達した。
「基本的人権」
ウィドップさんは変形性頸椎脊椎症を患っており、これが失禁の原因になることがあると言う。それだけに、「身だしなみを整える」必要がある際に水道料金を気にしなくてならないのは、きわめて不快なのだと話す。

「これが私の日常です。まともな社会だったら、体を洗いたいときに洗えるのが当たり前です。清潔な水が常に使えること。これは基本的人権であるべきです」とウィドップさんは強調する。
ウィドップさんの毎月の水道料金は、21ポンド(約3000円)から31ポンド(約4500円)に上がった。ただでさえ経済的にギリギリの状態にある人間にとって、この違いは非常に大きいという。
「何かの出費が少しでも増えれば、ほかを切り詰めないとなりません。食事や衣類や」
それでもやりくりができなければ、料金滞納に陥り、「借金のプレッシャー、プレッシャー、プレッシャー」による不安を抱えることになる。

独占
水道会社を選ぶことはできない。そのため、水洗トイレを流す回数を減らすなど、使う水の量を減らすしかないのだとウィドップさん。
「基本的に市場が独占されているので。最優先されるのは消費者ではないんです」

もっとひどい状態にもなり得るとウィドップさんは言う。昨年には、ボイラーから壁の穴に漏水していたことが原因で、水道料金が700ポンド(約10万2000円)に跳ね上がったことがあった。
ウィドップさんが契約する水道会社のヨークシャー・ウォーターは、「善意」から請求額のうち500ポンド(約7万3000円)を帳消しにしてくれたが、それでも200ポンド(約2万9000円)はなんとか工面しなくてはならなかった。
「たとえ200ポンドでも、まったく金欠だったら大金なんです」
料金滞納が貧困世帯の重荷に
ジョセフ・ロウントリー財団が4日発表した「英国の貧困2018」報告によると、貧困世帯が抱える借金の中でも水道料金は大きな割合を占めるようになった。

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