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ノーベル賞授賞式前に本庶佑さん記念講演
2018年12月8日 5時51分ノーベル賞

ことしのノーベル医学・生理学賞を受賞する京都大学特別教授の本庶佑さんがスウェーデンのストックホルムで「ノーベルレクチャー」と呼ばれる記念講演に臨み、「2030年ごろにはがんは人の命に関わる病気では無くなるだろう」と語りました。

「ノーベルレクチャー」は、ノーベル賞が始まった1901年から行われている伝統行事で、その年の受賞者が、受賞理由となった研究の道のりや意義について一般の人に向けて話します。

本庶さんは、日本時間の7日夜、ストックホルムにあるカロリンスカ研究所のホールで、1000人を超える聴衆を前に「免疫についての予想もしなかったすばらしい発見」というテーマで講演に臨みました。

この中で本庶さんは、病気の研究に打ち込んだ野口英世の伝記を読んで医学を志したことや、免疫の分野の研究を志すきっかけとなるさまざまな人との出会いを紹介し、「すばらしい仲間に恵まれ、本当に幸運だった」と研究者としての人生を振り返りました。

そして、免疫に関わる謎の遺伝子、「PD−1」を発見し、10年近くの研究をへて、これが当初の予想に反して免疫のブレーキ役として機能しているのを見つけたことや、これを解除することで、免疫の力を使ってがん細胞を攻撃するという新たながんの治療法を確立したことを紹介しました。

最後に本庶さんは、「現在、がんの治療は外科手術や抗がん剤が大半を占めているが、2020年には免疫療法が治療の中心となる。そして、2030年ごろにはがんは免疫療法で制御できるようになってがんは人の命に関わる病気ではなくなるだろう」と将来の展望を語って講演を締めくくると、会場は大きな拍手で包まれていました。

ノーベル賞の授賞式は日本時間の11日未明に行われることになっています。