https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181210/k10011742211000.html

“お笑い”でがん治療 大阪国際がんセンター
2018年12月10日 20時45分

落語や漫才などの「お笑い」を見て、笑うことでがんの治療によい影響があるかどうかを科学的に調べようと10日、大阪国際がんセンターでがんの患者らが落語を鑑賞する研究が行われました。


この研究は大阪中央区の大阪国際がんセンターのグループが去年から取り組んでいるもので、がんの患者60人を対象にお笑いを見た人と見ない人で免疫や遺伝子にどういった変化が表れるかを調べます。

10日は、病院の講堂で桂米團治さんら3人の落語家が高座に上がり、滑稽なやり取りやしぐさで落語を披露すると会場からは大爆笑の渦が巻き起こりました。

これまでの研究で、お笑いを見ると、免疫を高めるたんぱく質を出す能力が強まるとする成果が出ていますが、今回はさらに詳しく分析するため、表情を読み取る人工知能を使って患者の笑いの程度を数値化するということです。

がんの治療中の60代の男性は「病気のせいで最近笑っていなかったが、きょうは生で落語を見られてたくさん笑えました」と喜んでいました。

また、50代の女性患者は「病気と闘うことは大変だが笑うことの効果が分かれば励みになるので結果に期待したい」と話していました。

大阪国際がんセンターがん対策センターの宮代勲所長は「笑うことが患者にとって大事だといえる根拠をさらに得られるよう期待したい」と話していました。

高座に上がるのを前に落語家の桂米團治さんは「がんは漢字にすると岩という字にもなります。岩のように凝り固まったものを笑いによってときほぐせればと思います」と話していました。