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日本の刑事手続きに批判集中=ゴーン容疑者再逮捕で−仏メディア
2018年12月10日 18:31 
発信地:フランス [ 例外 その他 ]
【12月10日 時事通信社】日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者は10日の再逮捕で、勾留がさらに長期化することになった。同容疑者が会長を務める自動車大手ルノーの拠点フランスでは、勾留長期化のほか、取り調べに弁護人が同席できないなど、フランスと異なる日本の刑事手続きへの批判がますます強まっている。

 フランスでは欧州人権裁判所の判決を踏まえ、取り調べに弁護人を同席させる権利が認められる。さらに仏紙ルモンドは、最初の逮捕容疑と実質的に同じ容疑での逮捕・勾留について「この手法では判決を受けずに何週間も拘束されてしまう」と、勾留長期化に懸念を示した。仏メディアでは日本の刑事手続きを異質とみなし、人権軽視ととらえる報道が目立つ。

 また容疑内容や認否に関して公式に説明を避ける東京地検特捜部にも批判が強い。世界的企業トップのゴーン容疑者の逮捕は、外国メディアも同容疑者が勾留される東京拘置所前に取材に行くほどの国際事件。仏紙フィガロは「逮捕容疑ですら日本メディアへのリーク情報でしか知ることができない」と、内向きな情報公開手法を非難した。

 海外からの批判を受け、東京地検の久木元伸次席検事は先月29日の定例会見で、国ごとに制度は異なるとした上で、ゴーン容疑者の勾留は「問題ない」と反論した。

 一方、日本側には日本の制度が特殊ではないという見方もある。フランスで日本の「逮捕」に相当する「警察留置」は通常24時間以内、テロ容疑でも最大6日で、取り調べに弁護人が立ち会う。しかし重大事件では、警察留置後の「予審判事」による取り調べのために「起訴前勾留」が1年間程度に上ることもあるからだ。

 ただフランスでは、全地球測位システム(GPS)端末で容疑者を監視しながら在宅捜査が可能で、保釈するケースも少なくない。捜査に支障がないと判断されれば起訴前でも家族との面会も可能だ。

 龍谷大の赤池一将教授(刑事法)は「仏メディアは両国の制度の違いを理解した上で、弁護権が制限される日本の刑事手続きを批判している」と指摘。「人権は国にかかわらず普遍的であるべきだ。日本の刑事制度を振り返る機会にしなければならない」と解説した。(c)時事通信社