【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は14日、中国のハッカーが過去約1年半にわたって米海軍の請負業者のコンピューターシステムに侵入し、艦船の保守点検データやミサイル整備計画など、多種多様な情報を盗み出していると伝えた。米軍そのものではなく、サイバー攻撃への防護体制が弱い請負業者を狙うという手口に対し、海軍はサイバー対策の全面的な再点検を強いられているとしている。

 同紙によると今年6月、東部ロードアイランド州ニューポートにある「海軍水中戦闘センター」(NUWC)の契約業者がサイバー攻撃を受け、潜水艦搭載用の超音速対艦ミサイルの秘密開発計画が盗み出されたことが判明。ほかにも先端技術開発に携わる米軍研究施設が設置されている複数の大学が標的にされたことが分かったとしている。

 複数の米当局者は、標的となっているのは中国が関心を抱いている分野が含まれ、中国の仕業であることを示す痕跡も残されていると指摘。具体的には中国政府傘下のハッカー集団「テンプ・ペリスコープ」や「リバイアサン」が、電子メールのリンクから偽サイトに誘導し、システムに侵入するための情報を盗み出す「フィッシング」という手口を駆使してハッキングを実行している疑いが強いとしている。

 米当局者は過去1年半で何件のハッキングがあったかは明らかにしていないものの、当局者の一人は、中国政府との関連が指摘される最大規模のサイバー作戦だと強調した。

12/15(土) 11:59
産経新聞
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