2018/12/19 10:01

 北朝鮮に抑留された後に解放され、それから1週間後に死亡した米国人大学生オットー・ワームビアさんの家族がおよそ11億ドル(約1240億円)の損害賠償を北朝鮮に求める裁判を起こした。米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が17日(米国時間)に報じた。

 VOAによると、今年4月に北朝鮮を相手取って訴えを起こしたワームビアさん家族の弁護人は10月、ワシントンの連邦裁判所に書類を提出したが、そこには北朝鮮に対し「懲罰的損害賠償」を含む四つの項目からこのような規模の賠償金を支払うべきと記載されていた。請求金額のうち最も多い部分を占めるのは懲罰的損害賠償で、その額はワームビアさんの両親への支払い分それぞれ3億5000万ドル(約390億円)を含む総額10億5000万ドル(約1181億円)だ。弁護人は「米連邦裁判所は2015年、北朝鮮に拉致された後に死亡したとされるキム・ドンシク牧師関連の裁判では懲罰的損害賠償として3億ドル(約340億円)の支払いを命じたが、これでは不十分だった」とした上で「北朝鮮の極悪無道な行為はさらなる処罰につながるとのメッセージを送るべきだ」と主張した。

 ワームビアさん家族はさらに「家族の精神的苦痛に対する賠償金」として1000万ドル(約11億3000万円)、両親への慰謝料としてそれぞれ1500万ドル(約16億9000万円)、ワームビアさんが生きていた場合の生涯所得を計算した「資産に対する経済的損失」として604万ドル(約6億8000万円)の支払いを求めた。これらを全て合計すると、総額で10億9604万ドル(約1233億円)に達する。

 ただし米国の裁判所が北朝鮮に賠償命令を下したとしても、実際に北朝鮮がこれを支払う可能性はほぼない。しかしワームビアさんの弁護人団が今後北朝鮮から賠償金を回収するため、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の海外資産差し押さえを求める訴えを起こした場合、これも北朝鮮に対する新たな圧力になることも考えられる。

http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2018121980021