毎日新聞 2018年12月19日 09時26分(最終更新 12月19日 11時01分)

 鹿児島県の屋久島でウミガメ保護に取り組むNPO法人「屋久島うみがめ館」(同県屋久島町)は18日、中国・浙江省でウミガメの密売買グループが摘発され、密売されようとしていたとみられるウミガメの中に同館が屋久島で識別標識を付けたアカウミガメ2匹が含まれていたと発表した。屋久島に来るウミガメはこの5年で4分の1近く減っており、同館は「密漁など人為的原因の可能性が高まった」としている。

 うみがめ館によると、10月に浙江省舟山市の現地警察が売人を逮捕し、冷凍されたウミガメ21頭を発見。グループのリーダーも逮捕し、死んだウミガメ107匹が積まれたトラックも見つけた。

 計128匹のウミガメの中には屋久島に上陸して産卵し、同館が2008年7月と今年6月に識別標識を付けた2匹も含まれていた。128匹中100匹ほどがアカウミガメで、同館は「半分ほどは屋久島生まれと予想できる」としている。これらの情報は中国・浙江大のスタッフから寄せられたという。

 同館はこの日、県庁で記者会見し、今年3月に決めた年内限りでの解散方針を撤回して来年も活動を続けると発表。解散理由の一つだった人材不足解消のめどが立ったことや、解散すると屋久島に来るウミガメの生態などを綿密に調べる機関・団体がなくなることなどを理由に挙げた。

 大牟田一美代表(68)は「浜の監視役が必要。浙江省の密漁も氷山の一角に過ぎず、民間の保護だけでは防げないと警鐘を鳴らす」と述べた。

https://mainichi.jp/articles/20181219/k00/00m/040/033000c
中国浙江省で凍った状態で見つかったウミガメ。後ろ足には屋久島で産卵した際にうみがめ館スタッフがつけた標識が残っている
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