https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181221/k10011755131000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_003

トランプ大統領「米は中東の警察官ではない」シリア撤退開始
2018年12月21日 7時42分トランプ大統領

アメリカのトランプ政権が中東のシリアから軍の撤退を開始したことを受けて、与野党の間で懸念が広がる中、トランプ大統領は「アメリカは何も見返りがないのに中東の警察官でありたいだろうか」として決定は正当だと強調しました。

トランプ政権は、19日、シリアに展開するアメリカ軍の部隊が撤退を開始したことを明らかにし、トランプ大統領はツイッターで「ISに勝利し、打倒した」と宣言しました。

これに対し、アメリカ議会では与野党からISが勢いを取り戻したり、イランやロシアが影響力を増したりして混乱が拡大するという懸念が広がっています。

民主党下院トップのペロシ院内総務は20日の記者会見で「決定は危険なもので、プーチン大統領へのクリスマスプレゼントだ」と皮肉を込めて決定を批判しました。

しかしトランプ大統領は20日、ツイッターに「撤退は長年訴えてきたことで驚くことではない。アメリカは何の見返りもないのに中東の警察官でありたいだろうか」と書き込み、決定は公約を実現させたもので、正当だと強調しました。

そのうえで「これからはロシアやイラン、シリアがISと戦わなければならない」と投稿し、「ISを打倒した」とするみずからの宣言とは矛盾する内容の主張を展開しました。

今回の決定をめぐってはトランプ大統領がマティス国防長官らの反対を押し切る形で独断で進めたと伝えられていて、今後の政権運営に悪影響を与えるという見方も出ています。

プーチン大統領「全面的に賛成」

ロシアのプーチン大統領は、20日の記者会見でアメリカ軍が中東のシリアから撤退を開始したことについて、「過激派組織IS=イスラミックステートに勝利したとするトランプ大統領の考えに全面的に賛成する」と支持を表明しました。

ロシアとアサド政権にとって、敵対する反政府勢力を支援してきたアメリカ軍の撤退は、シリア内戦における事実上の勝利を意味します。

一方でプーチン大統領は、「アメリカはアフガニスタンからの撤退を表明しながら、今も残っている」と指摘し、アメリカ軍がシリアから完全に撤退するかどうか、慎重に見極める考えを示しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181221/K10011755131_1812210741_1812210742_01_02.jpg