ゴーン前会長 信用保証への対価として日産資金を不正支出か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181227/k10011761841000.html

関係者によりますと、信用保証に協力したのは日産とつながりが深い、サウジアラビア有数の実業家ハリド・ジュファリ氏で、平成21年2月、およそ30億円を海外の銀行に預ける形で信用保証に協力したということです。

この際、前会長側がジュファリ氏側に金銭を支払う条件などが文書に記されていたことが新たにわかりました。

その後、16億円余りの資金はCEO=最高経営責任者に裁量がある予備費から「販売促進費」などとしてジュファリ氏の会社に4回に分けて送金されていたということです。

特捜部はこうした文書の内容などからゴーン前会長が信用保証への対価として日産の資金を不正に支出したとみて捜査を進めています。

一方、弁護士によりますとゴーン前会長は容疑を否認し、「信用保証に協力してもらったのは事実だがジュファリ氏が銀行に預けた30億円に損失は出ておらず、16億円もの対価を支払う理由がない。
支払いは王族へのロビー活動などに対する正当な報酬だった」などと供述しているということです。

◇“ジュファリ氏 総資産48億ドル”

40年近くサウジアラビアの政治や経済を研究している国際開発センターの畑中美樹研究顧問は「ハリド・ジュファリ氏はサウジアラビア有数の財閥の経営者で、国内で知らない人がいないほどの有名人だ。
おととし、UAE=アラブ首長国連邦の雑誌が掲載した財閥ランキングでは、国内18番目で、ジュファリ氏の総資産は48億ドルとされている」と話しています。

そのうえで、「注目すべきは、実業界を代表する形で日本の日銀にあたるサウジアラビアの中央銀行『サウジアラビア通貨庁』の理事を数年前から務め、金融政策や経済政策を監督する立場にあることだ。
これは、ジュファリ氏が経済に明るいだけでなく、王族から能力を認められていることを示している。
ムハンマド皇太子が内政、外交、経済のすべてを任されている独裁的な体制の中でこうした立場にいるということは、皇太子からも信頼され、非常に顔が利く人物だということだ」と指摘しています。

そのうえで、「ゴーン前会長は中学・高校時代をレバノンで過ごしたが、ジュファリ氏もレバノンの高校を卒業しているので、おそらく高校時代からの知り合いなのではないか。昔からよく知っている間柄だったと推測される」と述べました。

◇“ジュファリ氏の会社 社会貢献活動を重視”

ハリド・ジュファリ氏の会社のホームーページには、会社が社会貢献活動を重視していると強調したうえで、知的障害のある人を支援しているとして、ジュファリ氏が子どもたちを抱きかかえる写真も掲載されています。