米アマゾン・コムが開設したニューヨーク市スタテン島の配送センターで、従業員の委員会が労働組合の結成に向けたキャンペーンを公に進めている。同市に大規模な新社屋を建設する予定の同社に、新たな課題を突き付けている。

 向こう15年間で25億ドル(約2700億円)を投じ、ニューヨークで2万5000人を雇用するアマゾンの計画には、問題がすでに表面化している。州知事と市長が同社と進めた交渉から締め出されていた市議会のメンバー数人は、公共交通網に過剰な負担をかけ、家賃の急騰をあおる恐れがあるとしてクイーンズ地区でのアマゾン社屋建設計画に反対を表明した。

 同市内の他地区で働くアマゾンの従業員らはロボットのような待遇を受けているとし、新社屋建設で優遇税制の恩恵にあずかることよりも待遇改善に焦点を当てるべきだと主張。組合結成の動きを支持する従業員らは、同配送センターでは安全面の懸念、不十分な給与、休憩時間の不足や理不尽な時間ごとのノルマを伴う12時間シフトなどの問題があると指摘した。

 ニューヨーク市会計監査役のスコット・ストリンガー氏は、市はアマゾンと「悪い取引」をしたと非難した上で「市民にメリットはあるのか、労働者が得るものは何か。労働協約はどこにあるのか」と述べた。

 アマゾンの公共政策担当責任者、ブライアン・ヒューズマン氏はコリー・ジョンソン市議会議長に「労働者が労組に加入する権利を当社は断固として尊重する」と述べた。(ブルームバーグ Josh Eidelson)

2019.1.8 09:13
SankeiBiz
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