2019年1月12日 7時10分
産経新聞

 手塚治虫など日本を代表する漫画家たちがかつて暮らした豊島区南長崎のアパート「トキワ荘」の復元費用に充てる寄付が、依然として絶好調だ。

 寄付総額は、募集開始から1年で目標額3億円まであと一歩の2億7千万円に到達。復元施設は来年3月22日にオープンすることが正式に決まり、今月15日に着工する。

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 トキワ荘は、昭和28〜36年に日本の漫画の巨匠たちが住み集い、青春時代を過ごした2階建てのアパート。28年に手塚治虫が入居したのをはじめ、最盛期の30年代には藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らが住み、数々の名作を生み出したが、建物の老朽化により57年に解体された。

 区は失われつつある地域のにぎわいを取り戻そうと、南長崎花咲公園内(同区南長崎)にトキワ荘の復元施設「マンガの聖地としまミュージアム」(仮称)を整備する計画を進めている。復元施設では、住人だった漫画家たちの部屋の様子を忠実に再現したり、アニメの上映や漫画の閲覧スペースなどが設けられる予定だ。

 昨年2月にはふるさと納税制度を活用し、復元施設の整備・運営費用に充てる寄付の募集を開始。全国各地から問い合わせが相次ぐなど上々の反響で、今月9日現在、法人も含め計673件、2億7382万8331円の寄付が集まった。

 区は当初、1億円を目標に寄付を募ったが、10月中旬には目標の7割に到達したことから、目標額を整備費用9億5千万円の約3割にあたる3億円に再設定。新たな目標額にも間もなく到達する勢いで寄付が殺到している。

 高野之夫区長は11日の記者会見で「素晴らしい反響に感動するとともに、しっかりやらなければならないと肝に銘じている。訪れる人を必ず楽しませるまちづくりを地域一体となって進めていく」と力を込めた。

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