【広州=川上尚志】中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は12日、ポーランド当局にスパイ容疑で逮捕された社員を解雇したと発表した。逮捕された社員について「疑いが持たれている行動は当社と関係はない」と説明。「今回の事件が世界での当社の評判を落とした」ことを解雇の理由とした。

ポーランド当局が拘束したのは、ファーウェイのポーランド法人で販売担当だった王偉晶氏とポーランド人の元情報機関幹部とされる2人。詳しい容疑は明らかになっていないが、2人とも中国の情報機関のためにポーランドにスパイ活動をした疑いがある。

ポーランド現地メディアが11日に2人の逮捕を報じ、ファーウェイも同日「事実確認中」と説明していた。12日に発表した声明では、解雇した社員の逮捕容疑の内容には言及せず、容疑を肯定も否定もしていない。「全ての従業員に対し、拠点を置く国の法律や規則を順守するよう求めている」と説明し、今回の解雇は「労働契約の条件に従って」決めたという。

報道によると、中国人社員は以前にポーランドの港湾都市グダンスクにある中国領事館に勤務していたとされる。ポーランド当局はファーウェイの現地事務所などを家宅捜索したほか、ポーランド人が勤務していた仏通信大手オレンジの現地事務所なども捜索し資料を押収したという。

ファーウェイを巡っては、2018年12月にカナダの当局が創業者の娘で副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏を逮捕したばかり。米国が経済制裁を科すイランに対し製品を違法に輸出した疑いがあるとして、米当局が孟氏の拘束を要請していた。孟氏は保釈されたもののカナダから出国は認められておらず、米国が身柄引き渡しをカナダに正式に要請するかが焦点となっている。

カナダでの孟氏の逮捕後、中国はカナダ人の元外交官を拘束するなどの対抗措置をとり、米国など西側諸国と中国との対立が激しくなっている。

中国共産党系の環球時報(電子版)によると、在ポーランド中国大使館は11日にポーランドの外交当局に対し、ファーウェイの社員逮捕を受けて「当事者の合法的な権利や安全、人道主義的な扱いが保障されるように要求した」という。逮捕の容疑など詳細はまだ明らかになっていないが、ポーランド当局の今後の判断によっては西側諸国と中国の火種がさらに広がる恐れもある。

2019/1/12 22:33 (2019/1/12 23:51更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39976840S9A110C1EA5000/

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