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北朝鮮から木造船で島根県隠岐の島町に漂着した男性4人は上陸から5日後の13日、長崎県の大村入国管理センターに移送された。
隠岐の島町には昨年12月にも朝鮮半島からとみられる無人船が漂流してきたほか、今月13日には青森県深浦町沖でも、木造船に乗った男性2人が救助を求めている。日本海側に漂着・漂流する船は年々増えており、その原因について疑問が深まるばかりだ。

@中略

 ◆11、12月多発

 日本海側に朝鮮半島からとみられる木造船が漂着・漂流した事案は年々増加している。海上保安庁によると2015年は45件、16年は66件、17年は104件、18年は225件、今年は今月11日までに9件が確認されている。

 特に日本海で西からの季節風が強まる11、12月に多く、17、18年は悪天候などから目立ったとみられるという。

 隠岐の島町では昨年12月24日、西郷岬灯台から約3・5キロの海上でハングルらしき文字が書かれた無人の木造船が発見された。船内からは衣服が見つかっている。

 今月4日には同町久見の海岸に船底のような木片が漂着していたほか、4人が助けを求めた8日の正午頃には、海上保安庁の航空機が蔵田地区の北約4キロの海岸で、別の木造船の船首と船尾を見つけた。

 ◆あまりにも装備が足りない

 県警は4人は漁師で、漁の最中に漂流したと判断したが、住民によると、船内には魚を貯蔵する保冷庫などはなかったという。

 漂流船に詳しい東海大海洋学部の山田吉彦教授(海洋政策)は、4人が乗っていた木造船について、「日本海沖に出るにはあまりにも装備が足りない」と話す。
北朝鮮では、どのように漁を行っているのか。山田教授は、北朝鮮では軍が漁船を管理するケースもあるという。母船とともに複数の小さな船が漁に出て、小さな船が取った魚でいっぱいになると、母船に引き渡す場合もあるとみられる。

 住民らによると、木造船のエンジンは、昔の農業機械用のものに似ており、プロペラもあった。山田教授は、日本海沿岸に漂着・漂流してきた船にはエンジンが付いていないことが多いといい、「北朝鮮は経済制裁を受けているため、燃料はほとんどないはず。エンジンが付いていたのが不思議」と話す。

 また、山田教授は「風向きにも左右されるが、なぜ隠岐に流れ着いたのか」と首をかしげる。仮に日本の排他的経済水域(EEZ)内の漁場・大和やまと堆たいでの違法操業であれば、山形県などもっと北に流されると考えられるからだ。

 急増する日本海沿岸への漂着船について、山田教授は、「全てが単に漁業中に漂着・漂流してしまったとは考えにくい」と話している。(佐藤祐理)

北からの漂着船、なぜ隠岐に漂着…深まる謎
2019年1月16日 13時05分
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190116-OYT1T50000.html