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 【北京=安藤淳】中国の最高人民法院(最高裁)の周強(しゅうきょう)院長が、陝西省の炭鉱開発権を巡り開発業者が省政府を訴えた訴訟の判決に不正に介入したとの疑惑が関心を集めている。
習近平(しゅうきんぺい)指導部が調査に乗り出しており、中国共産党内の権力闘争の一環だとする見方も出ている。

 疑惑は、最高法院で訴訟を担当した王林清(おうりんせい)裁判官が昨年十二月以降、インターネット上に動画を投稿して告発した。
十六日付の香港紙・明報は、重大な規律違反の疑いで調査を受けていると前日に発表された趙正永(ちょうせいえい)・元陝西省委員会書記の関与が取り沙汰されていると報じた。

 中国メディアによると、省政府と開発業者は二〇〇三年に炭鉱事業権益の契約を締結したが、三千八百億元(約六兆円)規模の埋蔵量が確認されると、省政府は契約を一方的に変更した。
このため開発業者は〇六年に省政府を提訴し、業者が勝訴した。省政府が最高法院に上訴したが、一七年に業者の勝訴が確定した。

 告発で王氏は、周氏が省政府に有利になるよう変更を指示したと暴露。さらに王氏が保管していた裁判記録が盗まれ、執務室の監視カメラ二台が故障していたと主張した。

 告発を受け、司法界への批判が噴出したため、検察や裁判所、警察を指導する党中央政法委員会は今月、記録紛失に対する調査チームを発足させた。

 周氏は李克強(りこくきょう)首相らを輩出した中国共産主義青年団(共青団)出身。これまで習氏はエリート集団だった共青団を官僚主義などと批判しており、周氏の今後の動向が注目される。

中国・最高裁トップ 判決へ不正介入か
2019年1月17日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201901/CK2019011702000127.html