https://jp.reuters.com/article/column-british-pound-brexit-idJPKCN1PC03O

外為フォーラムコラム
2019年1月18日 / 02:40 / 7時間前更新
英ポンド、ブレグジット混乱でも上昇する理由
Jamie McGeever
[ロンドン 16日 ロイター] - 英国政府と政治が今ほど混乱に陥ったことはないだろう。だが、欧州連合(EU)からの離脱を巡る混乱は、思ったほど通貨ポンドの大惨事を招かないかもしれない。

主要国の中央銀行は今年は大幅な利上げを避け、ユーロとドルはポンドのぜい弱性から利益を得ることに四苦八苦するだろう。

イングランド銀行(英中銀、BOE)も今年は利上げを行わず、来年8月までに0.25%ポイント引き上げるだけにとどまると金融市場は見込んでいる。向こう1年半でわずか1度の利上げであっても、楽観的な見方かもしれない。

15日に英下院で繰り広げられたドラマは見ものだった。メイ首相のEU離脱(ブレグジット)協定案は歴史的大差で否決され、その後まもなくして野党・労働党のコービン党首は内閣不信任案を提出した。

EU離脱の賛否を問う国民投票から2年半が経過し、離脱期限まで3カ月を切った今なお、英議会は合意から程遠く、国内の分断は深まるばかりだ。

16日発表されたスカイニュースの世論調査によると、国民の61%が英国は危機状態にあると答えている。当然、投資は控えられ、企業や消費者の信頼感も悪化。成長見通しも暗い。

約360億ポンド(約5兆円)の資産を運用するエルメス・インベストメント・マネジメントのセイカー・ヌセイベ最高経営責任者(CEO)は、「不確実な状況が今後も続き、明確な代替シナリオがないように思われるというのが悲しい現実だ」と、投資家の失望感を代弁した。

英国の政治的、経済的、そして金利見通しが、ポンドにとって明らかに良くないという見方は根強く存在する。

しかし、メイ首相の離脱案が否決された15日、ポンドは上昇した。英国貿易の4割超を担う相手国がユーロ圏であることを考えれば、より正確な指標とも言えるユーロに対して、ポンドは昨年11月以来の高値を更新し、翌16日も続伸した。

その背景にあるのは、政治的混乱と崖っぷちのブレグジットにより、3月29日の離脱期限が延期される、あるいは最終的により柔軟なブレグジットで英議会が合意する、という市場の憶測だ。議員の大半は「合意なき離脱」というハードブレグジットに反対している。

また、為替は単独で動いているわけではない。各国の経済成長や金融政策の引き締め観測も後退しており、本来なら他の主要通貨が享受できたであろう支援材料の一部が弱められている。

<ポンドのからくり>
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