2019年は明治維新期に新選組「鬼の副長」として名をはせた土方歳三が亡くなって150年の節目の年です。土方が生まれ育った東京・日野市では、没後150年をきっかけにした新たな地域おこしが進められています。

 日野市内とその周辺で、日野の街並みと土方歳三が描かれたタクシーの運行が始まりました。運行開始のセレモニーで日野市の大坪冬彦市長は「土方歳三の没後150年のシティープロモーションを展開する。9台のラッピングタクシーを市内はもちろん、市外まで走らせ、大いに日野市のPRにつなげていきたい」と語りました。

 土方は1835年に現在の日野市石田に生まれ、地元の道場で出会った近藤勇や沖田総司らと共に、京都で新選組を結成しました。新選組には幕末の京都の治安を守る命令が下され、土方は「鬼の副長」として組織の強化に取り組みました。そして、徳川幕府から明治新政府に政治の主導権が移った後も土方は戦い続け、1869年に函館で、34歳の若さで戦死しました。その激動の生涯からさまざまな小説の主人公となり、最近はアニメやゲームにも登場したことで、歴史愛好家だけでなく若い層にもファンが増えています。

 土方が生まれた場所に建つ「土方歳三資料館」には、最近、若い女性が多く訪れるようになりました。館長の土方愛さんは「創作物も『銀魂』『刀剣乱舞』『薄桜鬼』など、私が知らないものも若い人が教えてくれる。きっかけはなんであれ、『実際にいた土方歳三がどういう人だったのか』と訪ねて来てくれる」と話します。

 中でも人気を集めているのが、土方が愛用していた刀「和泉守兼定」です。刀のさやには実戦の傷跡が残り、柄の部分もすり減っていて、土方とともに幕末から明治という大きな時代のうねりの中を生きた証しを確かめることができます。

 日野市は土方の命日に合わせて毎年行われる「ひの新選組まつり」の例年以上の盛り上がりを期待していて、大坪市長も「海外にも若い新選組のファンがいるので、日本の女性ファンともども、日野市に来てもらえるようなキャンペーンにしたい」と話しています。

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