仏経済紙レゼコーは22日、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された仏ルノー会長兼CEO(最高経営責任者)のカルロス・ゴーン被告(64)が、辞任する用意があると周囲に伝えている、と報じた。同紙によると、ゴーン被告は弁護士などを通じて、ルノーが永続的なガバナンス(企業統治)を望み、体制を刷新したいとの意向を持っていることを把握しており、周囲に「自分はルノーや、日産とルノーのアライアンス(提携)にとっての障害になりたくないと言ってきた」と語ったという。

 ゴーン被告を会長兼CEOに留任させてきた仏ルノーが、後任を決めるための取締役会を24日に開くこともわかった。ルノー関係者が明らかにした。

 仏メディアの一部が20日にも取締役会が開かれると報じていたが、会長兼CEOの職を解く方法を巡り、ゴーン被告の弁護士とルノーの間で協議が続いているという。レゼコーは、ゴーン被告に退任に伴う金銭を支払うかどうかを含めて最終調整しているが、取締役会は「事態の急変がない限り、23日か24日に開かれる」と伝えていた。

 一方、仏紙フィガロは20日、ルノーの指名委員会が18日に開かれ、ゴーン被告の後任人事を検討したと報じた。ルノーが後任の会長とCEOを分け、会長に仏タイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・スナールCEO、CEOにはゴーン被告の逮捕後にCEO暫定代行に就いたティエリー・ボロレ氏が就任する見通しだと伝えている。

 ルノーはこれまで、会長とCEOを1人が兼任する例が多かったが、日産自動車におけるゴーン被告の不正が相次いで発覚したことを受け、権力の集中によるガバナンス(企業統治)上の弊害を考慮して会長とCEOを分ける判断に傾いた模様だ。

 ルノーは会長兼CEO職の解任を取締役会で3度見送ってきた。ルノー株を15%持つ筆頭株主の仏政府も「推定無罪の原則が働く」としてルノーの判断を支持してきたが、ゴーン被告の勾留が長期化していることなどから、解任を促す姿勢に転じた。ゴーン被告がルノーの経営トップから退けば、会長を解任した日産、三菱自動車と足並みがそろう。ルノーと日産の間で、資本関係の見直しを含めた議論が本格化するきっかけになる可能性がある。

2019年1月23日00時31分
https://www.asahi.com/articles/ASM1Q5F8SM1QULFA021.html