インドにある風力発電所の周辺は、トカゲの生息密度がほかの場所より約3倍高いことが、同国の研究チームの調査でわかった。
猛禽類(もうきんるい)などが少ないためで、チームは「風力発電所は食物連鎖の頂点に君臨しているかのように、生態系に影響を及ぼしている」と指摘している。

 風力発電の出力規模は、世界で5億キロワットを超え、インドは導入量で世界4位。再生可能エネルギーの主要電源である一方、鳥の進路の妨げになったり、立地地域の鳥やコウモリなどが減ったりする影響が指摘されている。

 今回の研究は、さらに生態系に広く影響している可能性を示した。チームは、インドで風力発電所が立ち並ぶ地域とほかの場所の動物の生息数を比較。発電所近くのトカゲの生息密度は約3倍で、トカゲを食べる猛禽類などは約4分の1だった。

 トカゲを調べると、ストレスホルモンの量が少なく、捕食に遭った経験が少ないとみられる。ただし、トカゲにとって良い場所とは限らず、トカゲの数が増えすぎたためにエサの競争が激しく、全体にやせていたという。

 研究成果は、専門誌「ネイチャー・エコロジー&エボリューション」(https://doi.org/10.1038/s41559-018-0707-z別ウインドウで開きます)に掲載された。


風力発電所の周りでトカゲ急増、天敵がいない?
杉本崇
2019年1月23日16時19分 朝日新聞社
https://www.asahi.com/articles/ASM1741QNM17ULBJ005.html