2016年12月に施行された「部落差別解消推進法」の実効性を高めるため、福岡県は差別解消のための県の責務などを盛り込んだ部落差別解消推進条例案を県議会2月定例会に提案する方針を固めた。制定されれば都道府県で初とみられる。

 同法は、インターネット上で差別的な書き込みが増えていることなどを背景に施行された。しかし、罰則規定がない理念法で、施行後も悪質な書き込みや落書きが続発。このため県は条例案に相談体制の充実や差別の実態調査などの他、結婚や就職時の差別を防ぐため知事が事業所などに必要な措置を勧告できる規定も盛り込んだ。

 部落解放同盟福岡県連によると、インターネット上の差別的な書き込みなどは17年度に県内で少なくとも41件確認された。部落問題に詳しい福岡県立大の森山沾一(せんいち)名誉教授は「部落の地名がネット上に氾濫するなど部落差別を取り巻く状況は変化している。各自治体は福岡県と同様の条例を定めるべきだ」と話した。【西嶋正法】

毎日新聞 2019年1月24日 05時30分
https://mainichi.jp/articles/20190123/k00/00m/040/265000c