「せんば山」にタヌキ?猟師に焼いて食われる前に姿消す
吉備彩日
2019年1月28日20時45分 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASM1X61NDM1XTLVB01F.html

 せんば山にはタヌキがおってさ――。「あんたがたどこさ」で始まる肥後手まり唄。一説にこの唄の舞台とされる熊本市中央区の船場橋付近で28日、ケガをしたタヌキが目撃された。

 目撃したのは、市内で飲食店を経営する田村昭子さん(49)。同日午後4時ごろ、熊本城そばの坪井川にかかる船場橋を自転車で通りかかったところ、橋のたもとの花壇の下にタヌキがいることに気が付いた。胴体の左側にケガをしている様子で、まもなく橋の下に潜り込んでいったという。

 田村さんから情報提供を受けて記者が急行したが、すでに姿は見当たらなくなっていた。それでも、現場にいた人たちが口々に「川沿いに歩く姿を見た」「同じタヌキかは分からないけど、お城の方向にスタスタ行ったのを見た」と話してくれた。
ある人は「子タヌキだったかも。元気そうに見えたけど……」。田村さんがとっさに撮った写真を見ると確かに、少し小柄にも見える。

 せんば山の所在には諸説あるが、船場橋近くの第一高校敷地内の丘がそうだという地元の人もおり、船場橋周辺には何体ものタヌキの像が立っている。同校付近では今でもタヌキの目撃情報があり、生物の教室には敷地内で見つかったというタヌキの剝製(はくせい)がある。

 焼いて食われたりせず、無事に家までたどりついただろうか。(吉備彩日)