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米政府 ファーウェイ副会長の身柄引き渡しを正式要請
2019年1月30日 7時54分

アメリカ政府は詐欺などの罪で起訴した中国の通信機器大手、ファーウェイの孟晩舟副会長の身柄を引き渡すよう、カナダ側に正式に要請しました。今後、カナダの裁判所で引き渡しの手続きを進めるか審理が行われます。

アメリカ司法省は28日、制裁下にあるイランとの金融取引をめぐる詐欺などの罪で、孟晩舟副会長と法人としてのファーウェイや関連会社を起訴したと発表しました。

孟被告は先月、アメリカの要請でカナダ当局に逮捕されたあと、パスポートの提出などを条件に保釈され、現在は自宅のあるカナダに滞在していて、アメリカ政府は28日、カナダ側に身柄の引き渡しを正式に要請しました。

今後、カナダの裁判所で引き渡しの手続きを進めるか審理が行われ、最終的にカナダの司法相が身柄を引き渡すか判断することになります。

今回の事件についてトランプ政権の閣僚らは中国との通商交渉とは別だという考えを示していますが、孟被告の起訴や身柄の引き渡しに中国は強く反発していて、今月30日から行われる米中の閣僚級による貿易協議を前に、アメリカと中国の対立が深まっています。

身柄引き渡しは

カナダ司法省もアメリカ政府から孟晩舟副会長の身柄の引き渡しについて「正式に要請された」とコメントしており、30日以内に引き渡しの手続きを進めるかどうかを決めます。

手続きを進めることになった場合は、バンクーバーの裁判所で審理が行われ、最終的にはカナダのトルドー政権の閣僚、デビッド・ラメッティ司法相が判断します。

焦点になると見られているのが、先月11日、ロイター通信のインタビューでのトランプ大統領の発言です。

この中でトランプ大統領は「重要な貿易交渉や国の安全保障のために必要であれば介入する」と述べて、中国との貿易交渉をまとめる助けになるのであれば捜査に介入することも辞さないという考えを示しました。

一方で、カナダのトルドー政権は今月、親から望まない結婚を迫られたなどとして難民の認定を受けたサウジアラビアの18歳の女性を受け入れ、空港にフリーランド外相が出迎えるなど、人権を重視する国であることを積極的にアピールしています。

仮にトランプ政権が、孟副会長を中国との貿易交渉などに利用し、カナダ側が「孟副会長の人権が守られていない」と判断すれば、引き渡しに応じないこともありえます。

また、孟副会長側は、カナダが身柄の引き渡しを認めた場合、これを不服としてカナダの最高裁判所まで争うことができます。