介護職、人材確保へ躍起 イメージの悪さ払しょくへあの手この手


 人材不足が深刻化している介護業界。2025年には大坂府内で3.4万人の
介護職員が不足する、との試算もある。このままだと、人材難の影響が
広く府民に降りかかるのは必至。人材確保の最大のネックとなっているのは、
重労働や低賃金といった悪いイメージだ。府や府社会福祉協議会の
取り組みを取材した。

 「介護についてみな関心はあるのに、自分の仕事として考えた時に
あまりにイメージが悪すぎるんです」

 府福祉人材・法人指導課人材確保グループの貞末和子・総括補佐は気を
もむ。2016年度の府内の介護職員は15.1万人。昨年11月の府の有効求人倍率は
全産業で1.68倍だったのに対し、介護関連職種は実に5.17倍だ。
最大の理由が「イメージの悪さ」だと言う。

データで見る

 公益財団法人「介護労働安定センター」の17年度介護労働実態調査に
よると、回答した全国の8782事業所のうち66.6%が人手不足を訴え、
うち88.5%が採用難を理由に挙げた。月給を見ると、主に施設で働く
介護職員は21万1464円。中小企業の若手社員と同等かやや良い位の水準だ。
離職率は主に施設で働く介護職員(正規)で14.3%。国の雇用動向調査では
一般労働者(正規など)の離職率は11.6%なので、やや高いと言える。

 一方、働いている当事者はどう考えているのか。「今の職場で働き続け
たい」との回答は56.9%で、前年より微増した。離職率の中身を見ると、
4割の事業所が離職率10%未満で、離職率30%以上の事業所は全体の2割だった。
賃金的に良くはないが、それなりに満足度が高い職場と言えそうだ。

養成校の学費補助も

 人材確保のため、府や府社協はあらゆる手を打っている。専門学校や
大学など府内に24校ある介護福祉士の養成校への進学者増も、狙いの一つだ。
修学費用を無利子で貸し付け、府内の施設で介護職として5年間従事すれば
返還が免除される手厚い制度もある。

 しかし、全国の養成校の定員充足率は44.2%(18年度)しかない。
府社協大阪福祉人材支援センターの叶井泰幸・人材担当部長は「養成校の
学生に進学動機を聞くと『親が介護を受けた時、介護職の専門性の高さに
感銘を受けたから』という話を聞いた。専門職としての魅力にも目を向けて
欲しい」と話し、高校や保護者へのPRにも力を入れる。

 また、シングルマザーの働き先としても紹介している。ポイントは、
正規採用されやすい▽シフト制により勤務時間が安定▽スキルを生かした
転職が可能――などで、働きやすいよう配慮した事業所も増えていると
いう。

 府は今年1月、介護職の魅力を伝える動画を公開し、実際に働く若者たちの
肉声を発信した。貞末さんは「とにかくまずは説明会や職場訪問に参加して
欲しい」と懸命だ。


毎日新聞【福田隆】(2019年2月3日 13時00分(最終更新 2月3日 13時00分)
https://mainichi.jp/articles/20190203/k00/00m/040/070000c

大阪府が制作した介護職の魅力を伝える動画の1シーン
=大阪府制作の動画「私、決めた!」編より
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/02/03/20190203k0000m040069000p/8.jpg