大阪都構想の住民投票の実施時期をめぐって昨年末以来、対立を続けてきた松井一郎・大阪府知事の率いる大阪維新の会と公明党のそれぞれの幹部が、妥協点を探る話し合いをしていることが8日、分かった。関係者によると、都構想の制度案(協定書)の取りまとめを4月の統一地方選後に行い、松井氏と吉村洋文・大阪市長(維新政調会長)の任期内(11〜12月)に住民投票を行うことで調整が進められているという。

 松井、吉村両氏は制度設計を行う法定協議会での議論の膠着(こうちゃく)を受け、統一選に合わせて知事・市長のダブル選を行う構えも見せてきたが、一転して回避される可能性が出てきた。

 府庁ではこの日、法定協が開催され、今井豊会長(維新幹事長)が直近2回連続で審議が空転したことを「不本意な運営となった」と謝罪。これまで会長の議事運営に反発していた公明も事務局への質疑を行い、都構想の議論を再開させた。

 維新と公明は昨年12月の協議で、住民投票の実施時期をめぐり対立。今年7月の参院選までをリミットとする維新に対し、選挙に集中したい公明は参院選後を主張し折り合わなかった。

 今年に入り、松井氏は実施時期については公明に配慮できると一定の譲歩を見せる一方で、現在の府議・市議の任期内である3月中の協定書完成を強く主張した。

 議論を加速させるため、今井会長が法定協の開催日程を相次いで設定したことに対し、公明など他会派は「会長の議事進行が強引だ」と厳しく批判。運営の正常化を求める動議を提出して採決を求め、維新側がこれを拒否するなど、直近の法定協は実質的な議論に入れない大荒れの展開となっていた。

 維新と公明に歩み寄りの気配がみられない中、松井、吉村両氏はここに来てダブル選の選挙費用に言及。両氏が現在と同じ構図で選挙に挑んだ場合、仮に当選しても任期は辞職前の残任期間と同じになり、11〜12月にはもう一度、選挙を行う必要があることから「1年に2回の選挙は市民府民の理解を得られない」(吉村氏)として、松井氏が市長選に、吉村氏が知事選に入れ替わる可能性を示唆していた。

2/8(金) 14:17
産経新聞
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