中高生の運動部活動で長時間の練習や暴力的な指導が「ブラック部活」として問題化する中、勝利至上主義や厳しい上下関係とは一線を画した「ゆる部活」が広まりつつある。スポーツ庁が昨年三月に作成したガイドラインには「週二日以上の休養日」など活動時間の制限だけでなく、競技志向を離れて多様なニーズに応える環境整備が盛り込まれるなど、国もこうした動きを後押しする。

ゆったりとした音楽が流れる放課後の教室。神奈川県厚木北高で四年ほど前から活動するのがヨガ同好会だ。道具や経験が不要で、男子に比べて部活参加率が低い女子に人気。昨年十月にはスポーツ庁の鈴木大地長官も視察、体験に訪れた。

 中学時代にバスケットボール部だった二年の大方七海さんは「体を動かしたいけど、高校では負担が大きいのは嫌だった」と参加。「ヨガは大人になっても続けられる」と月一度のレッスンを楽しむ。外部講師の伊藤玲子さんは県スポーツ推進審議会委員を務めた経験もあり「最近は“部活疲れ”の子も多い。自分のペースで楽しい学校生活にしてほしい」と話す。

 一九八四年ロサンゼルス五輪女子マラソン代表で全国高等学校体育連盟理事の増田明美さんは最近の動きを「部活動は教育。勝利至上の競技志向だけでなく、幅が広がる方がいい」と歓迎した。

 東京都世田谷区の船橋希望中には「軽運動部」がある。読んで字のごとく、軽めの運動で汗を流す部活だ。内容はボクシングを基にしたボクササイズやフライングディスク、縄跳びのダブルダッチなど何でもあり。今月二日には地域のボッチャの大会にも参加した。

二〇一七年春に創設。月一、二回を目安に活動し、十五人ほどの部員が思い思いに集う。「運動は苦手だけどここなら楽しめる」とは一年の向江智慧さん。顧問の大居純教諭は「最近は運動に積極的な子と消極的な子の二極化が進んでいる。あまり運動をしない子に機会を与えられたら」と語る。車いすの部員もおり、それぞれのニーズを持つ生徒の受け皿になっている。

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2019年2月9日
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019020902000269.html