伏見2人殺傷 過剰防衛で殺人罪認定 被告に懲役7年判決 京都地裁裁判員裁判


 京都市伏見区の路上で2017年12月、男性2人を刺して死傷させたとして
殺人と殺人未遂の罪に問われた同区の無職、中村正勝被告(51)の
裁判員裁判で、京都地裁(斎藤正人裁判長)は12日、殺人未遂罪を無罪とし、
殺人罪で懲役7年(求刑・同22年)を言い渡した。

 判決によると、中村被告は17年12月31日午後3時ごろ、伏見区肥後町の
路上で、大津市のアルバイト、猪飼将希さん(当時27歳)の胸を所持して
いた小刀で2回刺して殺害。猪飼さんの知人で同市の自営業男性(47)の
左腕などを刺し、全治5週間の重傷を負わせた。判決は殺人未遂について
「正当防衛が成立する」として無罪とし、殺人については過剰防衛だった
と判断した。

 中村被告と自営業男性の娘との間で金銭トラブルがあり、当日は男性ら
計4人が被告の自宅マンションを訪れ、路上で口論となった。中村被告は
男性にプラスチック製コンテナで殴打されたため男性を刺し、素手で
飛びかかってきた猪飼さんの胸を突き刺した。

 斎藤裁判長は被害者2人による急迫不正の侵害があったと判断。男性への
反撃は「やむを得なかった」とした一方、猪飼さんは素手だったことなど
から「小刀で振り払うとか、手足を刺すとか、他の手段も可能だった」と
して「反撃は過剰防衛に当たる」と述べた。

 京都地検の鈴木真理子次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議の
うえ、適切に対応したい」とのコメントを出した。


毎日新聞【澤木政輝】(2019年2月12日 18時20分、最終更新 2月12日 18時21分)
https://mainichi.jp/articles/20190212/k00/00m/040/155000c