ボラが大量発生、歓迎の市民も 名古屋の黒川

 名古屋市北区を流れる黒川(堀川上流の通称)にボラが大量に発生、
川面を黒く埋めている。あまりの多さに水中で酸欠が起きているとみられ、
名古屋市は大量死も懸念。一方、川の浄化に関わってきた市民からは
「魚が戻ってきた」と喜ぶ声も出ている。

 大量発生しているのは、北区黒川からやや上流の猿投橋の辺り。
体長20センチほどのボラが口をパクパク開け、川幅約10メートルの
反対岸まで埋めている。

 名古屋港水族館によると、ボラは春ごろに群れになって淡水域を
遡上する。大量発生は1週間ほど前からとみられ、13日時点で数百匹が
死んでおり、市は工事のため減らしていた庄内川からの水量を元に戻し、
水中の酸欠状態を解消させる。

 大量発生の理由は分かっていない。2008年にも大量発生し、
当時は約50万匹が酸欠で死んで悪臭が問題になった。

 清流域でなくても生息できるボラだが、「とにかく川がにぎやかになった」
と歓迎する声も。黒川やその下流域の堀川では、高度経済成長期に
工場廃水などで汚濁。市は1989年に「堀川総合整備構想」を定め、
ヘドロ除去などの環境対策に力を入れてきた。

 市の浄化施策の効果を調査検証するボランティア「堀川1000人調査隊」
代表の服部宏さん(63)は、昨年は堀川で年間を通じてボラの生息が
確認できたといい「再びたくさんの生き物が住む豊かな川に回復して
いってほしい」と話す。


中日新聞(2019年2月14日 12時56分)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2019021490125621.html