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ビジネス
2019年2月12日 / 04:07 / 16時間前更新
焦点:「EV王座」狙う独VW、排ガス不正どん底からの復活劇
Edward Taylor and Jan Schwartz
[ボルフスブルク(ドイツ) 6日 ロイター] - 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)が、電気自動車(EV)で世界のトップに君臨するという野望を実現できるとすれば、それは、排ガス不正という同社史上最悪の事件から生まれた、リスクの高い、思い切った「賭け」のおかげかもしれない。

自社の命運を賭けて800億ユーロ(約1兆円)もの巨額を投じたVWは、EV量産で収益性を確保するという大勝負に出た。これはどの自動車メーカーもいまだ近づくことさえできない壮大な目標だ。

自動車大手のEV計画には、これまで共通する1つの主要目標があった。それは、収益性の高い従来タイプの車から得られる利益を守りつつ、全体として大気汚染防止の規制を満たせる程度にゼロ・エミッション(排出物ゼロ)車を追加しよう、というものだ。

また顧客側は大半がEV購入に及び腰だった。高すぎる価格、充電の面倒さ、航続距離の不足が原因だ。

80年の歴史を誇るVWにとって、最大の戦略転換に踏み切るきっかけとなったのは、2015年10月10日にボルフスブルクのゲストハウスで週末開かれた危機対策会議だった。同社幹部がロイターに語った。

会議を主宰したのはVWで当時ブランド責任者だったヘルベルト・ディース氏。曇り空の土曜午後、9人のトップマネジャーが集まったのは、同社の排出ガス不正を規制当局が摘発したことに対する善後策を協議するためだ。このスキャンダルによってVWは270億ユーロを超える巨額の罰金を科せられ、名声は大きく傷ついた。

「激しい議論だったが、もし十分に思い切った飛躍ができれば、これはチャンスになり得るとの理解も得られた」。VWブランドのセールス担当取締役ユルゲン・シュタックマン氏はそう振り返る。

「あれが、EVというアイデアを単にもてあそぶ以上のことをやろうという、最初のプランニング会議だった」と、同取締役はロイターに語った。「われわれは自問した。ブランドの未来について、どういうビジョンがあるのか、と。現在の状況はすべて、ここにつながっている」

このブランド経営委員会からわずか3日後、VWは「MEB」というコードネームを与えられたEVプラットホーム開発計画を発表し、低価格EVの量産に向けた道が開かれた。
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