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上場企業による2018年度の自社株買いが過去最高を更新する見通しとなった。金融情報サービスのアイ・エヌ情報センター(東京)によると、今年度の自社株取得枠は17日までに前年度比5割増の6兆7000億円を超え、最高だった15年度を約2600億円上回っている。市場の関心が高い株主資本利益率(ROE)の向上につながり、株主還元策として企業の活用が広がっている。

企業は自社株を買い戻し、その代金を支払うことで還元する。自社の株価動向に応じて機動的に実施できるのが利点。市場に出回る株式数を減らし、1株当たりの価値を高める効果がある。

「自社株が割安」と市場に伝える意味もある。ソフトバンクグループが6日に6000億円の自社株買いを発表。孫正義会長兼社長は「(株価が)安すぎると心から思っている」と訴えた。ソニーも8日、1000億円の自社株取得を表明しており、両社の株価はその後、急上昇している。

企業統治の強化に取り組む政府の姿勢もあり、上場企業は一段と株主目線を意識した経営にかじを切っている。金融庁・東証は収益性指標として株主が重視するROEの向上を促す立場だ。

大和証券の高橋和宏株式上席ストラテジストは「米中貿易摩擦による世界経済の先行き不透明感から企業が設備投資を抑制した分、自社株買いに資金を回しやすくなった面もある」と分析。「株主還元姿勢を強める企業の自社株買いは今後も広がる」とみている。