昨秋にデビューした富山米の新品種「富富富(ふふふ)」について、県はコメのおいしさの検定として権威がある日本穀物検定協会(東京)の食味ランキングへの出品を見送った。まだ栽培技術が十分に確立されておらず、最高評価の「特A」を獲得できなければイメージダウンにつながりかねないと判断した。主力のコシヒカリをはじめ県内の主要銘柄は前年に特Aを逃しているだけに、優れた甘みとうま味で最高評価の奪還を期待された富富富の出品見送りは議論を呼びそうだ。(政治部・浜田泰輔)

 全国の産地が新品種を投入する“コメの戦国時代”と呼ばれる近年の状況を背景に、2017年産の食味ランキングには過去最多の151銘柄が出品された。うち43銘柄が最高評価の特Aを獲得し、その数は前年の44銘柄に次いで過去2番目に多かった。

 富山米は02年産以降、長く特Aから遠ざかってきたが、14年産と15年産でコシヒカリ、16年産でおくて品種の「てんこもり」が特Aに選ばれ、3年連続で最高評価をキープした。しかし、17年産はわせ品種の「てんたかく」を含む主要3銘柄がいずれも次点の「A」にとどまった。

 18年産で特Aへの返り咲きが期待される中、県は既存の3銘柄については引き続き出品する一方、富富富については慎重に検討した結果、出さないことに決めた。

 富富富の食味については、甘みとうま味の成分がコシヒカリより多く含まれているという分析データが出ており、消費者の評判も良好であるものの、デビュー1年目は専用肥料の使用が砂質の土壌エリアに限られるなど、生産面で試験的な部分が多かった。「品質に自信はあるが、出品するなら栽培技術が確立されてからでも遅くない」(農産食品課)との判断だった。

 加えて、特Aの乱立に伴い、獲得による差別化のメリットが薄れ、仮に逃せば産地イメージを悪くするリスクが高いことも考慮した。実際、17年産では過去に一度も特Aを逃したことがなかった新潟県の魚沼コシヒカリがAに陥落し、産地に衝撃を与えた。

◆コメの食味ランキング◆ コメの食味向上と消費の拡大を狙い、日本穀物検定協会が1971年産から実施している格付け試験。各産地が出品したコメを協会の評価員20人が銘柄を伏せた状態で試食し、外見や香り、粘りなど6項目をチェックする。複数の産地のコシヒカリをブレンドした基準米と比べ、特に良好なものを「特A」とし、以下「A」「A’」「B」「B’」の5段階で評価する。

■産地で判断分かれる特Aお墨付き/福井連続出品、新潟“不要” 

※省略

 18年産の食味ランキングの結果は今月末に公表される。

2019年02月18日 05:00
北日本新聞
http://webun.jp/item/7541022
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