検事総長が裁判所に苦言 刺激強い証拠「採用の努力を」


 稲田伸夫検事総長は20日、遺体や犯行現場の写真など刺激の強い
証拠について、「裁判所が必要性を認めない傾向にある」と指摘した。
裁判所の姿勢に苦言を呈した形だ。検察トップが公の場で裁判所の
訴訟指揮に言及するのは珍しい。

 全国の地検検事正らが集まる会議で述べた。刺激の強い証拠を
めぐっては、裁判員の精神的な負担を考慮するなどとして写真を
白黒にしたり、イラストに変えたりする事例が相次いでいる。
裁判員経験者からは「写真は耐えられない」との意見がある一方、
「写真の方が被害者のことを考えることができた」との声もある。

 稲田総長は、「そもそも刑事裁判は証拠によって認定されるものだ」と
指摘。こうした証拠について、裁判員の負担の観点のほかに「被害者や
遺族の心情も十分配慮しつつ、必要な場合には証拠が採用されるよう
努力してほしい」と検事正らに訓示した。


朝日新聞(2019年2月20日17時27分)
https://www.asahi.com/articles/ASM2N4SDXM2NUTIL01V.html?iref=comtop_8_08

裁判所の訴訟指揮について言及した稲田伸夫検事総長
=2019年2月20日、東京・霞が関の法務省
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190220003016_comm.jpg