2019年2月24日 9時45分
弁護士ドットコム

「ブラック企業マップ」(https://blackcorpmap.com/)が昨年末から話題になっている。厚生労働省が公表している「労働基準関係法令違反に係る公表事案」に掲載された企業を、日本地図上にドクロマークのピンを立ててマッピングし、可視化したウェブサイトだ。日本全国が、ドクロマークで覆い尽くされている現状を見て、衝撃を受けた人も少なくないだろう。

このサイトを運営しているのは、アラサーの男性、「社畜@ブラック企業マップ」さん(ツイッターアカウント名)だ。「社畜」さん自身も、いわゆるブラック企業に勤めていた経験がある。どんな思いでサイトをつくったのか。これまで、どのメディアにも取材に応じてこなかった「社畜」さんが、初めて告白した。(ライター・黒部麻子)

●ここに載っているのは「氷山の一角」
――ブラック企業マップ、なかなかの反響ですね。

2018年8月に公開しましたが、こんなにバズるとは思っていませんでした。このサイトは、見ていて明るい気分になれるようなものではないので、自分でも驚いています。

――ブラック企業マップが元にしている厚労省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」は、労働基準監督署が取り締まりをおこなった企業のうち、送検された企業、また違法な長時間労働を繰り返したり、複数の事業所で過労死を発生させたりして都道府県労働局長から指導された企業がリスト化されています。なぜ、このリストを掲載基準として使っているのでしょうか?

2017年に初めて、厚労省がこのリストを公表したのですが、そのときに「厚労省公認のブラック企業リストか!?」と、ちょっと話題になったんです。そのころから、これを何らかのかたちで使いたいなと思っていました。

厚生省のリストは、社名、所在地、違反内容が記載されていてわかりやすいのですが、お役所仕事らしく、無味乾燥なPDFだし、更新のたびに新たなPDFとして出るので、これまでに掲載された企業を一覧で見ることができません。だからもっと一目で見やすいものにできないかなと考えたんです。

――内容的には、労働安全衛生法関係の違反事例が多数を占めていて、長時間労働や残業代不払いなどの事例は少ないですね。業種としては、建設業や製造業、運輸業が多く、飲食業はほとんど入っていません。

現在、1459件の事例が掲載されていますが(2019年2月17日時点)、ここに載っているのは「氷山の一角」だと思っています。実際、僕がこれまで勤めてきたブラック企業も、このリストには入っていないんですよね。そのことに僕自身も、もどかしさを感じています。でも、「この会社はブラック企業かどうか」と判断するときに、主観で決めてはいけない。客観的基準としては、まずはこのデータを元にするのが妥当だと考えました。

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http://news.livedoor.com/lite/article_detail/16067078/