https://www.sankei.com/smp/tokyo2020/news/190225/tko1902250001-s1.html
2020年東京五輪まで500日余りに迫る中、世界各国が自国PRや選手団の歓待行事などのために設置する「オリンピックハウス」の場所選びに苦心している。東京大会には、競技会場や関連施設が集中する「オリンピックパーク」がない上、都心には適切な用地が限られているためだ。探し出したとしても手狭で賃料も値が張り、「高い、狭い、場所がない」の三重苦に見舞われている。25日にお台場に設置することを発表したブラジルの担当者は「今後、民間から資金を集める」と語った。

最近の五輪では開催地にオリンピックハウスを作る国が増えている。米国オリンピック委員会(USOC)が設置するような、代表選手やその家族らを対象にした交流や憩いの場のための施設や、観光や文化芸術などの魅力を紹介する一般開放型の施設に特徴が分かれる。オリンピックパーク内か、または近接する地区にパビリオンのよう大型施設を設ける国もあり、各国の情報発信拠点になる。

日本政府も近年、ジャパンハウスの充実に力を入れており、リオ大会や昨年2月の平昌冬季五輪では、日本文化や日本食を楽しめる各種ブースが設置されたほか、連日、東京五輪の関連イベントや日本人選手のメダリスト会見も行われ、大きなにぎわいを見せた。

今月に入り、場所選びに成功した国の発表が相次ぐ。スイスは、若者に人気のファッション店やカフェが並ぶ渋谷区神宮前のキャットストリートに「スイスハウス」を来年7月〜9月に開館する。フィンランドは港区の大使館内に自国の木材を使った2階建ての「メッツァ(フィンランド語で森の意味)パビリオン」を同6月にオープン。パラリンピック終了後も存続させ、年末の閉館までさまざまなイベントを行う。

欧州の両国は場所選びに奔走した経緯を明かす。スイスの外交官は「都心で十分なスペースを確保するのは至難の業。決まるまで2年間かかった」。一方、フィンランド大使館職員は「当初、選手村も近いエリアを想定したが、賃料に加え、他国との競争が激しく断念した」と語った。

次期パリ大会を控えるフランス、22年冬季北京大会を迎える中国なども用地探しは難航しているようだ。臨海部なら集客力も見込めるが「賃料だけで億単位」(欧州の外交官)と予算がかさむ。浅草や上野などの観光名所付近も候補地だが、一定の広さが確保される学校施設などが選択肢に上がっても、地元住民の反対で計画倒れになったケースがあることも判明した。
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