JR北海道が車内販売を終えた28日、長万部駅(渡島管内長万部町)の名物「かにめし」が、70年近くにわたる駅弁としての歴史に幕を下ろした。特急列車への最後の積み込みには、駅前で製造・販売する「かにめし本舗かなや」の6人がホームに立って、見送りをした。この1日で例年の3倍、145個の注文があり、乗客も車窓越しに最後を惜しんだ。

午後4時25分、札幌行きの「スーパー北斗15号」が同駅に着くと、同社で20年近く調理に携わる戸来(へらい)雅行さん(67)が、最後のかにめし25個分が入った紙袋を客室乗務員に手渡した。

 停車は1分足らず。「長い間ありがとうございました」と乗務員に告げると列車の扉は閉まり、駅を離れた。かにめしの店頭販売は続くが、戸来さんは「駅弁と呼べなくなるのは寂しい」とこぼす。

 かにめしは1950年、駅ホームでの対面販売が始まり。駅弁大会での優勝を機に全国で知られるようになった。同町の木幡正志町長は「長万部の代名詞が駅弁としての使命を終えるのはとても残念」と話した。

 最後の列車へも、できたての味を届けた。ホームから見送った同社の金谷圭一郎社長(45)は「お客さまには感謝の一言。来店時に変わらぬ味を提供できるよう、引き続き頑張りたい」と話した。

北海道新聞 3/1(金) 2:30
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