飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎です。今回は、飲食企業の「戦略転換」について解説したいと思います。

【画像】焼き鳥のとりどーるで提供している商品
https://image.itmedia.co.jp/business/articles/1903/06/l_kk_tori_002.jpg

■丸亀製麺の前身は焼き鳥店

みなさんも一度は利用したことがあるであろうセルフうどん店の「丸亀製麺」。今では全国に展開するうどんチェーンとして知られていますが、丸亀製麺の前身は焼き鳥店であることをご存じですか?

丸亀製麺を展開するトリドールホールディングス(HD)は1985年8月、兵庫県加古川市に焼き鳥居酒屋「トリドール三番館」として8坪のお店からスタートしました。

トリドールHDは売上高が1165億円、営業利益が76億円となっています。セルフうどん店としては店舗数、売上高ともに日本一であり、国内で上場している外食企業においても15位の売り上げ規模となっています。
.
■女性向けの焼き鳥居酒屋

※省略

■ファミレスタイプの焼き鳥店へ

そこで、創業から14年後の99年に地域の家族客が気軽に来店できるファミリーレストラン型の焼き鳥店「とりどーる」を出店します。日本人にとってなじみ性が高い焼き鳥、唐揚げ、釜めしという3大カテゴリーを主力商品に据え、100席以上の大型店で臨場感のあるオープンキッチンなどを武器に大繁盛しました。2008年には30店舗近く出店しています。現在でも郊外店が中心ながら、1店舗平均で年商1億2000万円を売り上げる繁盛モデルとなっています(丸亀製麺の1店舗平均年商は1億1400万円)。

※省略

■うどんへの転換

そこで同社は、鶏肉を主力食材としない新たな業態の展開に戦略転換します。それがみなさんご存じのセルフ式うどん店「丸亀製麺」です。

創業者である粟田貴也氏が父の故郷である香川県丸亀市を訪れた際に、できたてのうどんを食べさせる「製麺所」業態が地域の人々に愛され大繁盛している様子を見て、00年に「丸亀製麺加古川店」を開業しました。

同社はそれまでの成功モデルであったファミリー焼き鳥店から一気にうどんチェーンとしての出店攻勢をかけ、1号店をオープンしてから6年後の06年に東証マザーズに上場。さらにその2年後の08年には、東証一部に上場します。

丸亀製麺が繁盛した理由は3点あります。

売り場力

 丸亀製麺では製麺所の臨場感を再現するために、店舗に製麺機を設置しています。各店に製麺機を設置すると大きなコストがかかるため、通常のチェーン店ではこうした設備投資を嫌います。しかし、丸亀製麺ではこうした設備投資をあえて行うことで売り場に臨場感を演出すると同時に、他社がまねできない魅力=模倣困難性を高めています。

商品力 

 先ほどお話をした製麺機にも関係していますが、丸亀製麺ではうどんのクオリティーに徹底的にこだわり「打ちたて」「茹でたて」「作りたて」を提供しています。小麦も国産小麦を100%使用するなど、他のチェーンから見ると「コスト増」「非効率」なことをあえて実行して他社がまねできない商品力を実現しています。

価格力

 そして、最後に価格戦略です。臨場感のある売り場や素材、調理方法のこだわりなどで付加価値を高めつつも、商品の最下限価格は290円(釜揚げうどん並など)という低価格に設定されています。一方、丸亀製麺は100〜150円の天ぷらやおむすびなどのトッピングをカウンター上に多数陳列することで、ついで買いを狙っています。天ぷらとおにぎりを1品ずつ追加すると、結果的に客単価は500円を超えます。

■収益性を高める工夫

※省略

これを見ると以前の主力業態であった「とりどーる」の原価率が30.6%であるのに対して、「丸亀製麺」の原価率は25.6%と5%も低いことが分かります。「たかが5%」と思われる方もいるかもしれませんが、年間合計の売り上げが900億円を超える丸亀製麺における5%は45億円になります。

以下ソース先で

https://image.itmedia.co.jp/business/articles/1903/06/l_kk_tori_005.jpg
https://image.itmedia.co.jp/business/articles/1903/06/l_kk_tori_006.jpg
https://image.itmedia.co.jp/l/im/business/articles/1903/06/l_kk_tori_007.jpg

2019年03月06日 05時00分
ITmedia
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1903/06/news012.html